2019.01.26
Appleユーザのための短期集中講座
近年、動画コンテンツの中で特に注目されているのが「商品紹介動画」です。テンポのいい編集や楽しいテロップなどを施し、商品の魅力を動画で伝える"YouTuber"は、若い世代を中心に高い人気を集めています。今回は、編集中のデータをデバイス間で同期できる動画制作アプリ「Adobe Premiere Rush」を使って、商品紹介動画を作るポイントを紹介していきます!
1時限目 動画作りに最適なアプリ「ラッシュ」
個人が動画を使って情報発信するのが当たり前のものになってすでに何年も経ちます。多くの人が自分のSNSアカウントに動画を載せていると思いますが、いわゆる「ユーチューバー(YouTuber)」のように一歩踏み込んだ「コンテンツ」を作ろうと思うと、ちょっと尻込みしてしまう人もいるでしょう。その理由として、「本格的なカメラやソフトが必要そう」「本格的なツールは難しそう」という意識があると思います。そんな人でも、驚くほど簡単に本格的な動画を作れるのが、2018年10月にリリースされたばかりのアプリ「アドビ・プレミア・ラッシュ(Adobe Premiere Rush 以下ラッシュ)」です。
ラッシュは、映画やテレビの編集でも数多く使われる「アドビ・プレミア・プロ(Adobe Premiere Pro)」の高品質なエンジンを受け継ぎつつ、万人が使えるようなわかりやすい操作設計が徹底されています。Mac、iPhone、iPadそれぞれのバージョンが用意され、画面の大きさの都合で配置こそ違うものの、すべてのデバイスでほぼ同じ機能を使うことが可能です。
さらに便利なのが、編集中のデータはクラウド上に保存されてどのデバイスからもアクセスできる点。たとえば、家のMacで編集していた続きをiPhoneで開いて電車の中で続けて作業。訪問先では完成したムービーをiPadを使って皆でプレビュー、といったような連係が、同じIDでログインしておくだけで、特に意識しなくても自動的に行えるんです。ビデオのデータはそれなりの容量になりますが、一般的な速度のWi−Fiなどが利用できる環境ならば連係は驚くほどスムース。動画作りへの苦手意識も、このアプリできっと解消されることでしょう!
Adobe Premiere Rush CC
【開発】Adobe
【場所】iOS版:App Store>写真/ビデオ Mac版:https://www.adobe.com/jp/
Premiere Rushは2018年10月に登場したばかりの動画制作アプリ。有料プランもありますが、書き出しが3回のみに制限される無料プランもあるので、まずはそちらで試してみましょう。Mac、Windows PC版に加え、iPhone版、iPad版も用意されており、編集中のプロジェクトはクラウド上に保存されてどのデバイスからもアクセスできます。まさにネット時代ならではの仕様が魅力です。
2時限目「ラッシュ」のカメラ機能を使って撮影!
ラッシュのiPhone/iPad版は、すでにあるファイルの編集だけでなく、内蔵のカメラを使ったビデオや写真の撮影機能も備えています。ビデオ撮影はiOS標準のカメラアプリでも可能ですが、わざわざラッシュを使う理由は、個々の項目を意図的に詳細設定できる「プロ」モードにあります。
現在はたいていのカメラが、フルオートで「それなりに」きれいな動画や写真を撮ることができます。しかし、オート撮影の場合は「あと少しだけこうしたい」という意図を反映させるのがなかなか難しく、しっかりとビジョンを持った情報発信においてはそれが足かせとなる場合も少なくありません。実はいわゆる「業務用のカメラ」も、単にきれいに映るというわけではなく、こうした詳細設定が可能であることが特に重要なんです。
ラッシュのカメラ機能は、家庭用のビデオカメラでも上位クラスのものでなければ不可能なほどの設定が行え、高いポテンシャルを持つiPhoneのカメラ性能をフルに引き出すことが可能です。まずはこのページで紹介しているポイントを把握し、練習としていろいろな被写体をテスト撮影、そして実際の撮影を行いましょう。
[プロ]モードで理想の映像に
(1)Rushのカメラ機能は[自動]と[プロ]の2つのモードを装備。自動の場合はiPhone標準のカメラアプリと同じような動作ですが、プロに切り替えることで、下部にアイコンが一覧表示され、それぞれの項目を本格的なカメラ並みに詳細設定して撮影が可能となります。
(2)一番右側は動画の解像度と、フレームレート(1秒間のコマ数)の設定。解像度は、原則としていわゆる「フルHD」の[1080P]を選択。フレームレートは通常は[30]でOKですが、スポーツや乗り物など速いものの撮影時は[60]にするとより滑らかに撮影できます。[120]以上を選ぶと、スローモーションでの撮影となります。
(3)蛍光灯下の撮影などで、画面にフリッカー(ちらつき)が出る場合は、シャッタースピードを手動設定することで大半が解決可能です。電源周波数の違いにより、東日本は[1/50]か[1/100]、西日本は[1/60]または[1/120]にすることで解消されるでしょう。[120]以上を選ぶと、スローモーションでの撮影となります。
(4) [自動ホワイトバランス]がオンの場合は肉眼に近い色が再現され、オフにすることでポイントを突いた色作りが可能です。たとえば食べ物の撮影は、色温度の値を上げて暖かみを出すことで、より美味しそうに感じさせることができます。
(5)カメラ機能を把握したら、実際に撮影を行いましょう。今回はApple TV 4Kの商品紹介を想定。iPhoneを三脚に置いて、白壁の前で撮影しています。部屋の照明だけでもかなり明瞭に写りますが、壁に近づきすぎると影が出てしまうので、若干の距離を設けるのがベターです。