アラカルト ビジョナリストのスイッチ

創造者たちの革新の流儀⑧「下克上・杉平 涼」

文●山田井ユウキ

正しい勉強法を知らないと、どれだけ勉強に時間を費やしたとしても、すべてが無駄な努力になってしまいます。

【PROFILE】

大学受験個別指導塾「下克上」を起業して1年、現在32歳。西脇遼一氏とともに、下克上の共同代表を務める杉平涼氏の人生は挫折の連続だった。子ども時代、計算が得意だったことから理系の道を歩み、大学は「早慶」の数学科を受験。しかし、受験に失敗し浪人生活を送ることになる。猛勉強の末に再受験するも失敗し、立教大学理学部数学科へと進む。しかし、そこでも杉平氏は壁にぶつかる。大学で学ぶ数学は、パズル的に答えを出すような高校までのものとは異なり、論理の追求が重要。それについていけず、1年目からつまづいた。しかし、その後、大学数学を克服し、立教大学大学院理学研究科数学専攻に進学。

学生時代から10年以上数学講師として塾講師や家庭教師をしていたが、そこでも失敗を味わった。授業の評判はいいものの、なかなか生徒の成績を伸ばすことができない…。転機となったのは、偏差値28からたった3カ月で40以上上げることに成功し、慶應大学に合格したという西脇氏と、起業コミュニティで偶然知り合ったことだ。西脇氏が実践したという独自の学習メソッドに衝撃を受けた杉平氏は、これを世に広く伝えることを決意する。

そうして誕生した下克上は、東京都港区三田に本部を構え、日々多くの生徒の学習をサポートしている。「大学受験に才能やセンスは一切必要なく、正しい勉強法を実践することが大事」と杉平氏は言う。下克上独自の学習メソッドは実に特徴的で、たとえば「書いて覚えない」。手で書くよりもむしろ声に出して話したほうが、効率的に記憶に定着するからだ。ほかにも「授業はせず参考書を使う」「LINEで毎日サポートをする(ゆえに全国どこでも受講可能)」といった型破りな教育方法を実践。手厚いケアはまるで教育業界のRIZAPである。1カ月もしないうちにしっかりと結果が出る生徒が多く、保護者からも非常に高い評価を得ている。

 

INTERVIEWER

Appleユーザの中には、未来を形づくるすごい人がいる。本連載は、人脈作りのプロ・徳本昌大氏と日比谷尚武氏が今会いたいビジョナリストへアプローチ、彼らを突き動かす原動力と仕事の流儀について探り出すものである。

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徳本昌大

ビジネスプロデューサー/ビズライト・テクノロジー取締役/ブロガー

 

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日比谷尚武

コネクタ/Eightエバンジェリスト/at Will Work理事/ロックバー経営者

 

 

大学受験に必要なのは大学受験に必要なのは「正しい勉強法」

徳本●「下克上」は、偏差値30、40の勉強な苦手な受験生を慶應大学に合格させることを謳っていますよね。まずお聞きしたいのは、どうやってそれを実現しているのですか?

杉平●下克上の教育方針には、4つのポイントがあります。「正しい勉強法を徹底指導」「授業はせずに参考書学習」「毎日連絡を取るマンツーマン指導」、そして「日本全国どこでも受講できる」です。

徳本●実にユニークな方法ですね。

杉平●たしかに一般的な学校や予備校の教え方とはまったく違います。

徳本●「正しい勉強法」とはどういうことですか?

杉平●たとえば、慶應大学に合格する人は、元々頭がよく勉強ができる人というイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。正しい勉強法を知っていれば合格するのは決して難しいことではないのです。しかし、逆に正しい勉強法を知らないと、どれだけ勉強に時間を費やしたとしても、すべてが無駄な努力になってしまいます。ですから、下克上では最短ルートで合格するための正しい勉強法を徹底的に叩き込みます。正しい勉強法の例を挙げるとすれば、たとえば下克上では「書いて覚える」ことは推奨していません。

日比谷●えっ、書かないのですか?

杉平●はい。ですからノートも必要ありません。

徳本●ノートをとって勉強してきた身としては衝撃的です(笑)。

杉平●なぜかというと、何かを覚えるためにそれを書いていたら、すごく時間がかかるからです。「書く」という行為は、学んだことをアウトプットして記憶を定着させるために行います。それならば、書くよりも喋ったほうが1回にかかる時間は短くて効率的です。書くのと同じ時間で、2回も3回もアウトプットできますから。

日比谷●言われてみれば確かに…。

杉平●たとえば皆さん、好きなアーティストの歌詞って覚えてますよね。それは書いて覚えましたか? 違いますよね。何度も耳から聞いて、歌って覚えたはずです。書かないと覚えられないわけではないんです。重要なのはスピーディーに反復してアウトプットすることなんです。

日比谷●九九もそうですね。口ずさんで覚えました。

徳本●マイケル・マスターソンという人物が著書の中で「アイデアは思いついてから72時間以内に3回実践すべき」と述べています。それととても似ていますね。

徳本●では、「授業ではなく参考書学習」というのは、どういうことですか? 下克上では授業はしないのですか?

杉平●はい、授業ははっきりいって非効率です。なぜかというと、授業はつまるところ“1対多”という構造になってしまうからです。先生が話すことは全体に向けられているので、自分が個別に聞きたいことがあってもそのタイミングでは聞けません。逆に「それ知っている」ということを延々説明されたりもします。時間の無駄ですよね。自分ができることはカットし、できないことに集中して勉強するべきなんです。

徳本●つまり、理想的なのは3つ目の「マンツーマン指導」ということですね。でもそれなら家庭教師という方法があるのでは?

杉平●家庭教師やメンターがつく塾もありますよね。しかし、実際に教えてくれるのは月に一度か、せいぜい週に一度でしょう。もし、その間に生徒が間違った勉強法をやってしまったら、またそこから軌道修正しなければいけません。下克上では会って教えるのではなく、LINEで学習をサポートします。一人一人、毎日です。気になることがあればすぐに質問できる体制を整えていて、毎晩23時までにその日やった勉強について報告しなければなりません。

日比谷●すごいですね。まるでパーソナルジムのようです。

徳本●毎日というのは、他の教育機関ではなかなか真似できないことです。また、LINEを使うというのも、イマドキの学生にはマッチしていますね。

杉平●もちろん、東京都港区の慶應大学三田キャンパス前にある下克上の塾に直接きてもらっても構いません。しかし、基本的にはLINEでのやりとりで勉強法を指導すれば十分成績が上がっていきますから、日本全国、北海道から沖縄までどこにいても受講することができます。これが4つ目のポイントである「日本全国どこでも受講できる」です。

日比谷●どうしてもレベルの高い塾となると首都圏に集中しがちですから、それは素晴らしいですね。

徳本●地方は予備校や塾の選択肢が少なくて大変という話をよく耳にします。

杉平●そうなんです。教育には地域格差があります。スマホが普及して動画で授業を公開するケースも増えましたが、それだけでは十分ではありません。LINEを使って日々の勉強法の管理をすることで、本当の意味で地域格差をなくすことができると考えています。

 

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「慶應合格は簡単だ」というキャッチコピーが踊る株式会社下克上のホームページ(【URL】 https://www.gekokujo.co.jp)。教育理念や入塾案内に加えて、合格実績や受講者の声を見ることができる。

 

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下克上の教室は慶應大学のお膝元、東京都港区三田にある。毎日のように数十人の生徒が集まり、下克上メソッドで勉強を進めている。




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