2018.12.14
すべてが新しくなったiPadプロは、我々の目に見えない部分にも、多くの工夫が凝らされている。明らかになった内部構造から、その進化を探ることができる。
テクノロジーを凝縮
新しいiPadプロの分解レポートが、修理業者「iFixit」のWEBサイトにて公開された。それを見てみると、ロジックボード自体のサイズは従来のiPadプロと大きく変わらないことがわかった。iPadを縦位置にしたときの左右にリチウムポリマーバッテリを配し、その中央部に細長いロジックボードを配置するレイアウトも前モデルと変わらない。
iPhoneシリーズのようにロジックボードを片側に寄せないのは、縦横いずれかの方向に持った場合でも重量バランスを左右均等にする目的のほか、ロジックボードの発熱を持ち手に伝えにくくするための工夫だと推測される。
心臓部の「アップルA12Xバイオニック」は、iPadプロ10・5インチモデルに搭載された「A10Xフュージョン」に比べてパッケージサイズが一回り大きくなっている反面、メインメモリがチップ上に搭載されたことによって、ロジックボード上のフットプリント(専有面積)は縮小していることがわかる。
フェイスIDを実現するセンサシステムは画面上部中央部に配置されており、その構成はiPhone Xシリーズとほぼ同じだ。ただし、iPadプロのフェイスIDは画面を横位置にした場合でも認証が可能になっており、ニューラルエンジンのアルゴリズム改善によってその機能が実現されていると思われる。
強化されたスピーカ
従来のiPadプロのサウンドシステムは画面の上下端に左右に分けて配置された合計4個のフルレンジ(全帯域)スピーカによって構成され、iPadの持ち方(縦横)に応じて4個のスピーカへの出力内容を切り替える方式だった。
これに対して新しいiPadプロのスピーカは、配置は同じながらそれぞれ独立したツイータ(高音域)ユニットとウーファ(低音域)ユニットの2個で構成され、合計8スピーカに強化された。ツイータには小さく軽量な振動板を用いることでトランジェント(過渡)特性を改善し、ウーファは振動板を大型化すると同時にハイ・コンプライアンス(高追従)化することで、それぞれのユニットに最適な周波数帯域のサウンド再生を可能としている。
スピーカのマルチウェイ化によって、全体のワイドレンジ化やダイナミックレンジの拡大といった、いわゆる「Hi│Fi化」が実現されているのも新しいiPadプロの大きな特徴だ。
内部構造の変化は?
新iPad Proの内部構造は従来モデルと大きな違いは見られない。左右にリチウムポリマーバッテリを配置し、その中央部にロジックボード、バッテリの上下には左右独立の2ウェイスピーカシステム(合計8ユニット)を備える。
A12X BionicとA10X Fusion
A12Xはチップ自体は大きくなったが、MCM(マルチチップモジュール)構造でメインメモリを搭載しており、メモリを含めたフットプリントはA10Xより小さい。