第23回 秋冬の暖、早朝オーブン活動|くらしの本棚

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第23回 秋冬の暖、早朝オーブン活動

takako@caramel milk tea稲田多佳子さんがお菓子を焼く日々のあれこれを綴るエッセイ。
おまけのおいしいレシピもご紹介します。

今年もまたオーブン仕事の楽しい季節がやって来ました。冷える朝は暖を取るべく、ごそごそと起き出してはまずキッチンに立ち、何かしらオーブンに入れて、一日を始めています。お菓子を焼いたり、野菜を焼いたり、凝り性で飽き性なわたしの最近の早朝オーブン活動の様子、まとめてみました(笑)

10月の終わりから11月のかかりには、プリンをよく焼いていました。慌ただしい朝に焼くプリンは、とにかく配合がシンプルで、起き抜けのぼーっとした頭でも難のない簡単なレシピであることが条件。卵、牛乳、砂糖に、ちょっぴりのバニラで作る、やや固めのしっかりとした生地が好みです。時々牛乳を豆乳に代えてみたり、カロリーを気にしてお砂糖をラカントに代えてみたり、そんなこともしていました。

プリンの次は、焼き芋。わたしは皮ごと食べる派なので、さつまいもはきれいに洗い、濡らしたキッチンペーパーとアルミホイルで包んで、オーブンへ。スーパーでシルクスイートと安納芋を見つける度に作っていた一週間。ちょうどこの時期、甘い鳴門金時をいただいたりもして、芋が芋を呼ぶ、これも一種の引き寄せなのかしら?とか何とか思ったり(笑)

焼き芋に続いて、パプリカが来ました。昔、パプリカのオーブン焼きを覚えたての頃、「パプリカは、焼いたらすぐに紙袋に入れたりアルミホイルで包んだりして蒸らし、皮を剥くべし。」と、レシピブックで指南されていて、何の疑問も持たずしばらくずっとその通りにしていたのですが、今では、耐熱皿にパプリカを丸ごと乗せて、オーブンへ→少し焦げるくらいまで焼けたらオーブンから出して、そのまま放置→粗熱が取れたらラップで覆い、そのまま置いて蒸らし→皮を剥く、という手順で気楽に作っています。オリーブオイルと塩、胡椒だけで、とびきりの一品に。いや、とろりと焼けたパプリカはオイルがなくても十分おいしくて。そのままで食べたり、付け合せやサラダ、パスタに使ったり、お昼や晩ごはんに活躍させています。

そして現在、焼きりんごウィークの真っただ中。わたし、火を通したりんごが本当に好きで、殊に焼きりんごに関しては、りんごをただただ焼くだけなのにどうしてこんなにもおいしいのだろうかと、もうベタ惚れしています。りんごをオーブンに入れたら、キッチンが足元からゆっくりと暖まり、真紅のインクをじわっと混ぜたような甘い香りが漂って来て。今日は何だか幸せな一日になりそう。例え錯覚でも(笑)そんな予感に浸れる朝って、なかなか心地よいものなのです。

丸ごと焼く焼きりんごと言うと、種と芯をくり抜いた部分にバター、砂糖、シナモンを詰めたり、アーモンドクリームやチーズケーキ生地を入れたりしたくなるのだけれど、何も入れずに焼いても普通にちゃんとおいしいんですよね。毎日でも食べたいし、朝はなるべく手間を掛けたくないしで、朝焼きりんごに関しては、何も詰めずにとりあえずりんごだけで焼いておき、焼きたてを朝ごはんに、冷めてからクリームを乗せておやつに、ヨーグルト、パンケーキやスコーンに添えたりなどしています。また、マフィンやケーキに焼き込んだりも。風味や香りを加えずに焼いたりんごの使い勝手のよさを実感!といったところでしょうか。
まだもう少し続きそうな焼きりんごウィーク。いつまで続くのか、りんごの次には何が来るのか、自分でも楽しみにしています。

今回は、そんなシンプルな焼きりんごを、クランブルと生クリームでちょっとしたカフェ風おやつに仕立てたレシピをご紹介します。りんごは温かくても冷たくてもおいしいので、お好みの状態でどうぞ。クランブルは冷凍保存可能。残ったら、冷凍用保存袋などに入れ、冷凍庫へ。凍ったまま使えるので、冷凍庫にキープしておくと便利ですよ。

「クランブルとクリームを添えた丸ごと焼きりんご」

材料 2~3人分

りんご 2~3個

クランブル(作りやすい分量)
 A薄力粉45g
  アーモンドパウダー20g
  きび砂糖20g
  塩少々

 植物性油20g

生クリーム 好みの量

 

焼きりんごの作り方

①りんごはきれいに洗い、表面全体にところどころ楊枝などで穴をあけ、上部1/4ほどを横にカットする。下の部分は、種と芯をスプーンなどでくり抜き、カットした上部を乗せてフタをする。

②天板や耐熱皿にオーブンシートを敷き、①を並べ、180℃に熱したオーブンで45分ほど焼く。

 

クランブルの作り方

①ボウルにAを入れ、フォークでよく混ぜ合わせる。植物性油を回し入れ、フォークで手早く混ぜて、ぽろぽろのそぼろ状にする。

②オーブンシートを敷いた天板に広げ、170℃に熱したオーブンで13分ほど焼く。

 

組み立て方

①お皿にりんごの下の部分を乗せ、真ん中のくり抜いた部分にクランブルを入れる。生クリームを八分立て程度に泡立てて乗せ、クランブルをかけ、りんごのフタを乗せて、出来上がり。

プロフィール

稲田多佳子(著者)
京都に生まれ育ち、現在も京都で暮らす。
HP「caramel milk tea」 で手作りお菓子の写真を掲載したのがきっかけとなり、2004年にお菓子のレシピ本を出版。以来、年に数冊のペースでお菓子やお料理のレシピ本を出版している。代名詞といえば、焼きっぱなしの焼き菓子とロールケーキ。ひとくち食べると思わず心も笑顔になるような、毎日でも食べ飽きず作り飽きることのない、簡単でやさしい味わいのお菓子作りがモットー。
日本茶インストラクター、ティーアドバイザー、ジュニアオリーブオイルソムリエを取得。