第20回 魅惑のマフィン型用ペーパーカップの世界|くらしの本棚

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第20回 魅惑のマフィン型用ペーパーカップの世界

takako@caramel milk tea稲田多佳子さんがお菓子を焼く日々のあれこれを綴るエッセイ。
おまけのおいしいレシピもご紹介します。

同じマフィン型で同じ生地のお菓子を焼いても、敷き紙として入れるカップを変えれば、焼き上がったお菓子の雰囲気もまた少し違って見えるもの。薄いペーパーだから、軽くて収納場所もそんなに取らない、お値段可愛いし、何よりわたしマフィン型で焼くお菓子大好きだし!と、お買い物の言い訳はいくらでも見つけられてしまい、「おっ、これは!」というものに出会ったら最後、ついうっかりポチッと買ってしまう日常です。

紅茶の生地にはロマンティックな花柄を。レモンやオレンジを使った柑橘系のケーキは、黄色やオレンジのカップで。夏に焼くマフィンなら爽やかなブルー系がいいかな。ホリデーシーズンの12月に焼くマフィンは赤や緑、柄物ならクリスマスのイメージで、リボンや雪の結晶プリントもぴったり。子ども向けおやつには、ポップな絵柄のものが喜ばれそう。
そんなふうに、生地に混ぜ込む材料や、その時々の季節、差し上げる方のイメージなんかに合わせてカップを選んだりすることも、私にとってマフィンを焼く中にある楽しみのひとつです。

柄物のカップでは、側面だけじゃなく底部分の裏側まで可愛くデザインされているものも多くあり、見逃せないポイントとして密かに注目しています。ケーキや花のイラスト、小さなメッセージがプリントされているカップなどをプレゼント用のお菓子に使うと、ちょっとワクワクしてくるんですよね。相手が気付いてくれなくても、そんなワクワク気分をひとり味わえる、というところがよくて(笑)。

もちろん、ベーシックな無地のカップも愛用中しています。わたしの定番は、白、茶色、黒の3色。白は、中の生地が薄っすらと透けるので、側面底面の焼き色でお菓子の焼け具合が確認出来るし、マーブルになるよう生地を入れてもマーブルの模様がぼんやり見えるところもいい。ダークな茶色と黒は、お菓子の印象がピリッと引き締めてくれるような気がしてかなり好きです。また、無地だとラッピングする際、柄物の袋やリボンを使ってもうるさくならず、すっきりと仕上がるのも嬉しいなと思います。

日本でマフィン型というと、直径7cmで高さが3cmほど、6個連結のものがポピュラーだと思いますが、「マフィン型にぴったり」として売られているカップでも、メーカーや作られた国などによって、大きさの差が実はあります。ほんの小さな差ではあるのだけれど、底面の大きさや側面の高さが若干違うため、カップに入る生地の分量も少しばかり違って来る。よって、小さめのカップでは小さめのマフィンが、大きめのカップでは大きめのマフィンが焼き上がります。

ちょっと極端な例えだと、同じように8分目の高さまで生地を入れて、いつもはちょうど6個分になる分量なのに、カップを変えたら5個分になっちゃったわ、みたいなことも。だからどうという話でもないのだけれど(笑)、その辺りの事情をちょっと知っておくと、何かの役に立つことがあるかも知れません。

今回は、ぐるぐる混ぜてささっと作れるマフィンをご紹介します。生クリームとヨーグルトで作る、ミルキーでやわらかく食べやすい生地のマフィンです。小さく切ったクリームチーズを混ぜ込み、可愛くておいしいオレンジスライスを一枚ずつのせて焼きました。
クリームチーズとオレンジスライスは使わず、プレーンなマフィン生地として作り、ナッツやチョコチップ、レーズンなど、ご家庭にある材料での自由なアレンジもどうぞ。

オレンジとクリームチーズのマフィン

材料(直径7cmのマフィン型6個分)

  • A 薄力粉 90g
  •   ベーキングパウダー 小さじ1
  •  
  • 卵 1個
  • グラニュー糖 60g
  • 塩 ひとつまみ
  • アーモンドパウダー 30g
  • 生クリーム 80g
  • プレーンヨーグルト 50g
  •  
  • クリームチーズ 60g
  • オレンジスライス(缶詰) 6枚
  •  
  • 粉砂糖(溶けにくいタイプ) 適量

 

下準備

・卵は室温に戻す。
・クリームチーズは約1cm角に切り、冷蔵庫へ入れておく。
・オレンジスライスはキッチンペーパーにのせて汁気を切る。
・型にグラシンカップを敷く。
・オーブンを170℃に温める。

 

作り方

①ボウルに卵、グラニュー糖、塩を入れて泡立て器でよく混ぜる。アーモンドパウダー、生クリーム、プレーンヨーグルトを順に加え、その都度しっかりと混ぜて、なめらかな状態にする。

②Aをふるい入れ、ゴムベラで底からすくうようにして混ぜる。粉気がなくなれば、クリームチーズを加えて全体に混ぜる。

③型に入れ、オレンジスライスをのせて、170℃のオーブンで25分ほど焼く。ケーキクーラーにのせて冷まし、仕上げに茶漉しなどで粉砂糖をふる。

 

※卵はLサイズ、生クリームは乳脂肪分47%、プレーンヨーグルトは無糖のものを使いました。

プロフィール

稲田多佳子(著者)
京都に生まれ育ち、現在も京都で暮らす。
HP「caramel milk tea」 で手作りお菓子の写真を掲載したのがきっかけとなり、2004年にお菓子のレシピ本を出版。以来、年に数冊のペースでお菓子やお料理のレシピ本を出版している。代名詞といえば、焼きっぱなしの焼き菓子とロールケーキ。ひとくち食べると思わず心も笑顔になるような、毎日でも食べ飽きず作り飽きることのない、簡単でやさしい味わいのお菓子作りがモットー。
日本茶インストラクター、ティーアドバイザー、ジュニアオリーブオイルソムリエを取得。