第2回 スパイス初心者も本格カレーの魅力にハマる―『世界一やさしいスパイスカレー教室』(マイナビ出版)
2017.08.07
エディター&ライター&スポーツインストラクターとして活動中。日々のレッスンでは美容や食の話題が多く、仕事を通して出合った本が数多くあります。美容、健康、グルメなど、実際に自分が役に立った、おすすめしてよかった本を紹介したいと思います。
インド発祥のカレーですが、カレーといえば日本の国民食と言われるくらい親しまれています。夫に「今日の夕飯はカレーだよ」とメールすると大喜びで帰宅します。カレーが嫌いな人ってあまりいませんよね。カレーを食べるとほっこり幸せな気持ちになるのは、子供の頃からの家庭の味だからでしょう。
家庭のカレーは固形ルーが定番ですが、その中にさまざまなスパイスが調合されています。専門店の本格的なカレーを一から作るには、このスパイスの一つひとつから作り上げるわけですから、最初は「それって大変!」と思いました。
でも本書を開くと、写真付きで細かく説明されていて、「これなら私もできるかな」という気持ちがわいてきます。
さて、カレーを作る前に、スパイスを揃えなければいけません。今回は手軽に手に入るGABANを購入。できれば、新大久保のイスラム横丁のスパイス専門店や上野のアメ横センタービルの地下食品街で購入したほうが手頃な価格で手に入るでしょう。 本格的なスパイスカレーのタベアルキストならご存知かと思いますが、スパイス店のことから調べないといけません。
実際に作り始めると、
・クミンシードを油で熱すると、かなり飛び散って肌に当たると熱い
・カレーロード、カレーの素ができるまで炒める際、出来上がりの色が本の写真と微妙に違う
といったことが気になりましたが、あとは苦もなく。「料理教室を書籍に再現」させたというだけあって、細かいところまで行き届いています。紙面と見比べながら完成した基本のチキンカレーは、風味も旨味も奥深く間違いなく美味しい!!
ふとサイドメニューにカレーを出しているラーメン店を思い出し、店主におすすめのカレー本を聞いてみたところ、偶然にも本書の監修・水野仁輔さんの著書でした。水野さんのスパイスの技は、ラーメン店の美味しいカレーにも活かされていたのです。
さらに旨味を出すには、水でなく出汁を使うことだと聞き、鶏ガラで出汁をとり、作ったカレーに半分は水、半分は鶏出汁を入れて食べ比べ。確かに鶏出汁のほうが旨味の膨らみが違います。本書でも鶏ガラスープを使う時短のコツがありますが、ラーメン店の出汁も理屈は同じ。美味しいカレーのための一工夫です。
本書には、隠し味に醤油や砂糖などを入れて、コクを出すコツも紹介されています。つまり、レシピ通りでなく好みの味にカスタマイズしてもいい。これもラーメン店主から教わったのですが、市販の固形ルーをちょっと加えること。スパイスの持ち味を活かしつつ、ほんの隠し味程度に各家庭で慣れ親しんだ味をプラスすることでしっくりくるわけです。
ひとつ残念だったのは、最後に香菜を入れすぎて家族に不評だったこと。苦手な人もいるので…という忠告に従って、まずは香菜抜きのカレーを作るべきでした。
このことが却ってチャレンジ魂に火をつけましたね。基本のチキンカレーのリベンジや店でしか食べたことのないほうれん草のカレー、つけ合わせのアチャール(インドの漬物)など、挑戦したいものがページをめくるごとに出てきます。カレー通はもちろん初心者にもおすすめの一冊です。