第19回 普段のおやつ、夏の定番、ひんやりゼリー|くらしの本棚

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第19回 普段のおやつ、夏の定番、ひんやりゼリー

takako@caramel milk tea稲田多佳子さんがお菓子を焼く日々のあれこれを綴るエッセイ。
おまけのおいしいレシピもご紹介します。

夏の始まりを実感する京都の祇園祭。「コンコンチキチン、コンチキチン」の祇園囃子が町中に流れ、お祭りムード一色に染まっていた7月も、そろそろ終わろうとしています。

いよいよ夏本番、夏場は体のシャッキリ度も行動指数も数段階ダウンするのをひしひしと体感するほど、とにかく暑さに弱い私。一年の中でいちばん苦手な季節なのだけれど、心地よくエアコンの効いた部屋で冷たいお茶とお菓子をいただく幸せは、この季節だからこそ味わえる幸福感。夏に食べるかき氷やアイスクリームのおいしさはやっぱり格別だし、日が長いこと、涼しげな風鈴の音色、青い空に浮かぶ入道雲、向日葵畑、洗濯物も早くよく乾く(これ大事!)。なかなかどうして暑い季節も捨てたもんじゃないわねー、なんて思えるような、夏のいいところ探しをして、今年も気合いで乗り切ろうとしているこの頃です。

暑くなるにつれて作る比率が断然上がって来るのが、言わずもがなの冷たいお菓子。体は冷やさない方がいいと分かってはいるものの、こうも暑いと冷やさずにはいられません。アイスクリームやフローズンヨーグルト、グラニテなどの凍らせるお菓子から、ゼリー、パンナコッタ、プリン、レアチーズなど、喉ごしよくつるんと食べられるお菓子。ふるふるぷるんとした食感が好きなので、凝固剤では寒天よりもアガーよりも、ゼラチン支持派。ゼラチンで固めるお菓子をせっせと作る日々です。

自分用の普段のおやつによく作っているのは、拍子抜けするぐらいに簡単で、本当に何でもないものがほとんど。アイスティーやアイスコーヒー、牛乳や豆乳、アーモンドミルクにお砂糖を入れず、とりあえずそのままゼラチンで固めるだけとかね(笑)、レシピの要らないようなそんなものがとにかく多いです。だけど、その単純さが返ってよく、茹だるような毎日の中でも億劫がる暇もなく作れるし、味もシンプルだから食べ飽きることがありません。

紅茶やコーヒーのゼリーなら、バニラアイスクリームを添えたり、泡立てた生クリームをのせてシロップをかけたり。牛乳、豆乳、アーモンドミルクのゼリーなら、はちみつやメープルシロップ、黒蜜、甘いリキュールをかけるだけでもおいしいし、きび砂糖ときなこをかけたり、茹で小豆を添えたり、カットした生のフルーツや缶詰のフルーツを合わせて杏仁豆腐みたいにしてみたりと、その時の気分に合わせていろいろな食べ方が出来るのも嬉しいところ。

保存容器やバットにまとめて大きく作り、食べたい分だけ取り分けてもよし、冷蔵庫からさっと出してそのまま食べられるよう1人分ずつの小さなカップに固めてもよし。好みのプレーンな飲み物をゼリーにして冷蔵庫に入れておく。これ、簡単でおいしくて便利なので、皆さんもぜひに。

先月、秋山竜次氏のクリエイターズ・ファイル祭を観がてら大阪へ遊びに行った時、お昼ごはんに寄った梅田のパティスリーカフェで面白そうなプリンと遭遇しました。カラメルソースの代わりに、大阪産のたまり醤油を使ったみたらしソースがかかっているという、みたらしプリン。これは食べてみなければと、お土産おやつに買って帰り、違和感を小さく感じながらも、「ん? これはおいしいのか? これはありなのか? どうなんだ?」と、探るようにひとくち、ふたくち。食べ進めるにつれてだんだんとはまって行ってしまうような不思議な味わい、じわじわ来るやつでした(笑)。気になる味、気に入った味に出会うと、自分でも作ってみたくなるものでして、みたらしソース、私も早速お菓子に取り入れています。

そんな面白い味わいを皆さんにもお試しいただきたく、今回は、ゼラチンで固めた豆乳プリンにみたらしソースをかけてご紹介します。豆乳が苦手な方は、豆乳を牛乳に置き換え、ミルクプリンにしてどうぞ。また、みたらしソースの代わりに黒蜜やメープルシロップなどもよく合うので、お好みの食べ方で。

みたらし豆乳プリン

材料(約100mlの容器 6個分)

  •  生クリーム 100g
  •  きび砂糖 35g
  •  粉ゼラチン 5g
  •  豆乳 350g
  •  ※生クリームは乳脂肪分35%のものを使用しました。
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  • みたらしソース
  •  水 大さじ3
  •  きび砂糖 大さじ1
  •  醤油、みりん 各大さじ1/2
  •  片栗粉 小さじ1

作り方

① 鍋に生クリームときび砂糖を入れ、混ぜながら中火にかける。沸騰直前くらいで火を止め、粉ゼラチンを加えてよく溶かす。混ぜながら豆乳を加え、茶こしなどを通してこす。

② 容器に注ぎ入れ、ラップをかけて、冷蔵庫で2時間以上冷やし固める。

③ みたらしソースを作る。みたらしソースの材料全てを耐熱のボウルに入れてよく混ぜ、ラップをかけずに電子レンジで1分30秒ほど加熱し(途中3~4回混ぜる)、とろみをつける。そのまま冷ましておく。

④ ②が固まったら冷蔵庫から出し、みたらしソースをかける。

プロフィール

稲田多佳子(著者)
京都に生まれ育ち、現在も京都で暮らす。
HP「caramel milk tea」 で手作りお菓子の写真を掲載したのがきっかけとなり、2004年にお菓子のレシピ本を出版。以来、年に数冊のペースでお菓子やお料理のレシピ本を出版している。代名詞といえば、焼きっぱなしの焼き菓子とロールケーキ。ひとくち食べると思わず心も笑顔になるような、毎日でも食べ飽きず作り飽きることのない、簡単でやさしい味わいのお菓子作りがモットー。
日本茶インストラクター、ティーアドバイザー、ジュニアオリーブオイルソムリエを取得。