第16回 4月のお菓子話と暮らし話、つれづれ|くらしの本棚

くらしの本棚

第16回 4月のお菓子話と暮らし話、つれづれ

takako@caramel milk tea稲田多佳子さんがお菓子を焼く日々のあれこれを綴るエッセイ。
おまけのおいしいレシピもご紹介します。

4月も半ばを過ぎて、こちら、京都の桜は、今まさに満開。私の暮らす場所ではそろそろ散り始め、清々しくも力強い新緑が顔を見せ始めました。桜のお菓子もそろそろおしまいかなと、桜のフィナンシェ、桜のロールケーキ、桜クッキー、桜あんパンなどを日々せっせと焼いていたのですが、冷蔵庫にある桜餡と桜の塩漬けを使い切ったところで、やっぱりまだもう少し楽しみたいかもと、桜素材、また新たに注文したくなっています。もうすぐ5月、新茶の季節。桜のお菓子でゆく春を惜しみながら新茶をいただく、というのも、乙なお茶時間になりそうですよね。

・・・と、こんな感じで今回は、ゆるりとした私の毎日から最近の出来事をいくつかご報告します。

ついこの間、びっくりすることが起きました。ミックスナッツのドロップクッキーを作っていて、生地をゴムベラでサクサク混ぜつつ、時々ボウルの底に押し付けるようにしながら生地をまとめていたら、なんと、ヘラの部分がパキッ!と折れてしまったんです。これまで長いことお菓子作りして来ましたが、ゴムベラを折ってしまったなんて初めての経験。そんなに強く力を込めたつもりはなかったんですがねぇ。買い換えてまだ何日も経っていないお気に入りのゴムベラだっただけに、ショックは大きかったのでした。

朝時間の一杯に、温かいレモネードを飲むのが近頃のマイブームです。甘みははちみつでつけるのが好きで、今日はどのはちみつにしようかと選べる幅が更に広がれば楽しいよねと、日本のレンゲと百花蜜、カナダのクローバーとホワイトクローバー、フランスのひまわりを、新しく仲間入りさせました。お菓子の素材としても、欠かすことのできないはちみつ。色とりどりのおいしいが詰まった美しい小瓶をぼんやり眺めるのも、私には和みのひと時。小さな瓶たちに、日々癒されています。

おもてなしでは、圧倒的にお昼のごはん会や午後のお茶時間が多いのですが、先日、久しぶりに夜のごはん会を開催しました。時間帯が変わるだけで何だか新鮮な気分になり、メニューを考えるのも器を選ぶのも楽しくて、あれも作りたいこれも食べてもらいたい、器は陶器にしようか磁器にしようかと、毎日のうちごはんを作るのとは違うテンション(笑)。

メインはご飯もの、生ハムと明太子の洋風ちらし寿司に決定。くるりと巻いて花のように形作った生ハムが春らしいビジュアルで、毎年この季節、お気に入りの一品です。「たかこさんのしあわせふたりごはん」(マイナビ出版)、春メニューでも同じようなレシピをご紹介していて、雰囲気の分かる写真が載っています。機会があればご覧になってみてくださいね。
白胡麻を混ぜ込んだ酢飯の上に、刻みのりを散らし、生ハム、明太子、小さな角切りにした長芋をのせ、薬味を散らして完成。この日の薬味は、大葉、みょうが、ねぎ、スプラウト。たっぷりがおいしいです。春の簡単洋風ちらし寿司、お試しくださいませ。

あとは、鶏の柚子胡椒ロールに焼き野菜を添えたもの、お揚げとちりめんじゃこのサラダ、海苔あんをかけたレンジで作る大鉢茶碗蒸し、スナップえんどうとチーズの和小鉢。デザートは、軽いタイプの生地のチーズケーキにしました。和洋折衷な献立に合うよう、チーズケーキも和風にアレンジして桜餡マーブルにしよう!と決めていたのに、うっかりプレーンのまま焼いてしまうというハプニングもありましたが、私にはありがちなハプニングすぎて、このくらいではもはや動じません(笑)。桜餡マーブルのチーズケーキは、来春のおもてなしデザートに焼こうと思います。

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さて、4月のレシピ、ふたつめは、桜餡マーブルにしそこねたチーズケーキ生地を使った(笑)キュートなお菓子をご紹介します。さっぱりと甘酸っぱいベリーが、これからの暑くなる季節にも喜ばれるチーズケーキです。ココットで小さく焼いて、真ん中の凹んだ部分にバニラアイスクリームをのせれば、ちょっとしたうちカフェ気分。彩りには、ベリーと相性のよい香りのローズマリーを。アイスクリームの代わりに、無糖で泡立てた生クリームをのせ、はちみつをかけるのも、大好きな食べ方です。

ミックスベリーのココットチーズケーキ

材料(直径約7cm陶器製ココット型8個分)

  •   クリームチーズ 110g
  •   グラニュー糖 50g
  •   塩 少々
  •  
  • A  サワークリーム 50g
  •   卵 1個
  •   生クリーム 80g
  •   レモン汁 小さじ1/2
  •   薄力粉 10g
  •  
  •   冷凍ミックスベリー 120gほど

下準備

・クリームチーズと卵は室温に戻す。

・オーブンを160℃に温める。

作り方

① ボウルにやわらかくしたクリームチーズ、グラニュー糖、塩を入れ、ハンドミキサーでよく混ぜる。

② Aを表記の順に加え(薄力粉はふるい入れる)、その都度ハンドミキサーでしっかりとよく混ぜ、なめらかな状態にする。

③ 型に流し入れ、表面に冷凍のベリーを散らし、160℃のオーブンで25分ほど焼く。冷めたら、冷蔵庫に入れてしっかりと冷やす。

※ここではラズベリー、ブルーベリー、いちごの冷凍ベリーを使用。いちごは大きいものが入っていたので、小さくカットして使いました。

プロフィール

稲田多佳子(著者)
京都に生まれ育ち、現在も京都で暮らす。
HP「caramel milk tea」 で手作りお菓子の写真を掲載したのがきっかけとなり、2004年にお菓子のレシピ本を出版。以来、年に数冊のペースでお菓子やお料理のレシピ本を出版している。代名詞といえば、焼きっぱなしの焼き菓子とロールケーキ。ひとくち食べると思わず心も笑顔になるような、毎日でも食べ飽きず作り飽きることのない、簡単でやさしい味わいのお菓子作りがモットー。
日本茶インストラクター、ティーアドバイザー、ジュニアオリーブオイルソムリエを取得。