【第2回】ヒステリックな内面 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

誰でも明日のことは考える

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【第2回】ヒステリックな内面

2014.05.19 | 城戸朱理

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誰かが、コインランドリーで 何かを洗い流そうとしている
でもヒステリックな内面は洗えない
ポケットの小銭を数えて
どこまで行けるか
どこまで遠くに行けるのかを思案しながら——

見上げれば、青く、あまりに青く張りつめた空
汗ばむほどの陽気だというのに
都心では雹が降った
凍りついたものが、陽射しを裂き
アスファルトに乾いた音を立てた
張りつめた青空が、裂けて飛び散る
すさんだ心があげる悲鳴のように。
「大気の状態が不安定」
孤独の正しい位置につかないと
大気も不安定になるのか
孤独との正しい距離を測れないと
青空も裂けるのか

誰もがコインランドリーで洗っている
洗い流すことができないものを洗っている

心が揺れるように、大地も揺れるとき。

洗い流せないものだけが、より鮮やかになっていく

2014.5.19