詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

流星の予感

流星の予感

【第13回】第十三週

2014.04.07 | 山田航

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  僕は力尽きるまで君をさらい続けよう。
  奴らににらまれた時点で、僕なんて死んだようなものだ。

ピンポン玉の転がる音を追ひかけて虹のほころび繕ひにゆけ

  暴力の世界に生まれて、暴力を誰よりも憎んでいる君が、
  なぜ僕なんかについて来ようと思うのか。

鎮魂ぢやないのさ僕はただ眠りつづけてゐたいだけの薬莢

  でも覚えている。
  僕にゴキブリのように光るピストルを渡したのは、
  僕の震える指をがっちりと固定して引き金を引かせたのは、
  君だ。

いつか行く疎水の南そこにまだあるといふ灯台を思へり

  「ごめんね。
  私にはここ以外のふるさとがないの。
  壁の落書きに毎日赤い絵の具がべっとりと上塗りされる裏街以外には。」

海底に鳥棲む星を見つけたら瓶でいいから手紙が欲しい

  暴力は、点だ。
  銃弾を撃つときも、
  ナイフで腹部をえぐるときも、
  流れるようになめらかなのは気分だけで、
  暴力の瞬間はいつも点としてこの手に感触を残してきた。
  その感触が背中をざわつかせるたびに、
  七七は僕の指のすき間をこぼれて消え去ってゆく。


銃声はかつて遠吠え早春賦
夕東風の狂へばコインランドリー
野遊に尽きるいかなる罪状も
地図の血も所詮雲雀の浅知恵か
初雷や密室に汗拭ひけり
窓を訪ふ燕に向ける弾もなし

  乱暴に階段を上がってくる靴音が、
  近づいてくる。


2014.4.7

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