【第11回】第十一週 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

流星の予感

流星の予感

【第11回】第十一週

2014.03.24 | 山田航

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  「ディズニーはもともと『灯台』をコンセプトにしたがってたの。
  でも日本だと『灯台』にロマンティックなイメージがあることを、
  全く理解されなかったのね。
  それで妥協案として生まれたのが、ディズニーシーだったの。」

流星が無数に海へ落ちてゆく星の外部を夜が包めば

  「ハーレー・ダビッドソンは流れ星だから、びかびかだよ。
  早いんだよ。見つけに来てよ。」

心臓が迷路になつて四日目の赤いゴールを塞ぐかさぶた

  「泣いてるんでしょ。
  ハーレーはおんぼろだし。
  見たことも聞いたこともない街だし。
  真っ暗だし。
  あなたはもっと泣かなきゃだめだよ。」

文字盤のこの輝きは鱗粉のおかげらしいよ何の鱗粉

  「ビニール袋入りのパンでいいんだよ。
  それ以外に何も望んだりしないよ。
  でもあんパンはこしあん限定ね。」

鯨座のミラAそしてミラBが重なれば喉仏は動く

  「わたしたちには会いすぎちゃいけない時期があるよ。
  流れ星なんだから。
  まともな未来なんて
  待ってるわけがないんだから。」

無風の中の灯台を夢の在り処と思ふとき
ひたくれなゐの山の辺を縫ひながらゆく光あり
嗚呼早春の稜線に装飾音(トリル)のやうに流星はかかりゆくなり
お針子の指の繊さにあこがれてそのほほゑみを慕ふのは
毛糸の先の毛羽立ちの揺れすらもまだ知らざりし君の瞳の為ならむ

  このあたりではアメリカンスピリットかホープかピースの三択らしい。
  僕たちは死ぬか逃げるかの二択だから、
  このあたりの住人の方が選択肢が多い。

火【fire】ではなく明かり【light】煙草につくものは未来でありし日々をおもへば

2014.3.24

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