いよいよ今週28日金曜日3時7分にH-IIAロケットでGPM主衛星を打ち上げ!インターネットでライブ中継も実施


「GPM(Global Precipitation Measurement))主衛星」の打ち上げが今週の2014年2月28日金曜日に迫ってきました。雨雲をスキャニングできる地球観測衛星である「GPM主衛星」とそれを搭載する「H-IIAロケット23号機」については以前に紹介しているので詳細はそちらをご覧いただくとして、打ち上げ時間は日本時間の金曜日3時7分から5時7分、つまり、27日木曜日の遅い時間になります。JAXAでは、その様子を「YouTube JAXA Channel ライブ配信」「Ustream JAXA Live」「ドワンゴ(ニコニコ生放送)」「知多メディアスネットワーク」を通じて公式のインターネット生中継として種子島宇宙センターより2時20分から放送します。

 

「GPM主衛星」は、日米共同開発の人工衛星です。日本が開発した「二周波降水レーダ(DPR=Dual-frequency Precipitation Radar)」と米国が開発した「GMIマイクロ波放射計(GMI=Global Modeling Initiative)」を搭載しています。本体は米国が開発し、打ち上げは日本が担当しているため、衛星本体を米国から日本に運び、DPRを組み込んでから「H-IIAロケット」に搭載します。イメージCG画像/提供 NASA

 

「GPM主衛星」が打ち上げられる種子島宇宙センターです。写真は、21号機の移動の様子です。/提供 JAXA/MHI

 

使用する「H-IIAロケット」は、固体ロケットブースター(ロケットの一番下に取り付けられている補助ロケット)を2本使用するタイプの「H2A202」で、今回は高度約407kmという低軌道に打ち上げます。また、ロケットの余力を利用して7つの小型副衛星(ピギーバック衛星)も同時に打ち上げます。ロケットの飛行計画は以下のようになっており、第2段エンジンの燃焼が停止した後に「GPM主衛星」を皮切りに合計8個の人工衛星が次々と分離されることになっています。

 

全球降水観測を目的とした「GPM主衛星」は、米国、フランス、インド、中国などが開発を担当している副衛星8基と連携して、3時間毎に地球全体の降水状況を観測することができます。イメージCG画像/提供 NASA

 

「GPM主衛星」を下から見たイメージCG画像です。下に見えているのが日本が開発を担当したDPRです。太陽非同期軌道と呼ばれる特別な軌道を周回しており、太陽の光を受けたり受けなかったりを頻繁に繰り返します。太陽光の入射角も変動するため、太陽電池パドルの発生電力の確保や低温と高温に耐えられる熱制御構造など、他の人工衛星と比較すると設計がどうしても難しくなります。/提供 NASA

 

【H-IIAロケット23号機飛行計画】

◯00分00秒後(高度000km):リフトオフ(発射)

◯01分39秒後(高度047km):固体ロケットブースター燃焼終了

◯01分48秒後(高度055km):固体ロケットブースター分離

◯04分秒05後(高度148km):衛星フェアリング分離

◯06分36秒後(高度230km):第1段主エンジン燃焼停止

◯06分44秒後(高度236km):第1段と第2段分離

◯06分秒50後(高度239km):第2段エンジン始動

◯14分58秒後(高度399km):第2段エンジン燃焼停止

◯15分49秒後(高度398km):「GPM主衛星」分離

◯24分09秒後(高度400km):信州大学可視光通信実験衛星「ShindaiSat」分離

◯28分19秒後(高度403km):香川大学香川衛生「STARS-Ⅱ」分離

◯32分29秒後(高度406km):帝京大学微生物観察衛星「TeikyoSat-3」分離

◯36分39秒後(高度408km):筑波大学ネットワーク衛星「ITF-1 結(ゆい)」分離

◯37分59秒後(高度408km):大阪府立大学「OPUSAT」分離

◯39分19秒後(高度408km):多摩美術大学&東京大学芸術衛星「INVADER」分離

◯40分39秒後(高度408km):鹿児島大学「KSAT2」分離

 

当然ですが、第1エンジン燃焼停止時で秒速5km、第2エンジン燃焼停止時で秒速7.7kmというもの凄い勢いで一気に高度を上げながら日本から離れて行くロケットの姿を種子島宇宙センターのカメラから長時間に渡って捉えることは難しくなります。しかし、今回は南東に向けて飛び立つため、本州でも南の方角が開けている場所であれば右(西)から左(東)に飛んでいる軌跡を皆さんの自宅から追うことができるかもしれません。高度約400kmを周回する国際宇宙ステーション(ISS)が肉眼で見えることを考えるとチャンスはあるのではないでしょうか。

 

 

カテゴリ: ロケット, 人工衛星
タグ: , , , , ,