2014年2月28日に打ち上げられるH-IIAロケット23号機が宇宙に運ぶGPM主衛星とは?


JAXA(宇宙航空研究開発機構)から、来年最初の打ち上げ計画が発表されました。2014年2月28日のAM3時7分からAM5時7分の間に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定のロケットは「H-IIAロケット23号機」。目的は、日米で共同開発した全球降水観測(GPM)計画の主衛星(GPM主衛星)の周回軌道への打ち上げです。

 

H-IIAは、日本が誇る主力大型ロケットです。観測衛星を数多く打ち上げており、小惑星探査機「はやぶさ2」もH-IIAで2014年に打ち上げる予定です。/提供 JAXA

 

「GPM(Global Precipitation Measurement)主衛星」などと言われると小難しく感じられますが、要は地上の降水状態を宇宙から観測して、天気予報の精度向上や洪水警報システムの運用、水資源の管理、異常気象の解明などを行うためのものです。今回打ち上げる人工衛星には日本が開発した「二周波降水レーダ(Dual-frequency Precipitation Radar)」と米国が開発した「GMIマイクロ波放射計(Global Modeling Initiative)」という2つの観測装置が搭載されています。

 

「GPM主衛星」のイメージイラストです。/提供 JAXA

 

「二周波降水レーダ(DPR)」は、「雨雲スキャンレーダ」と呼ばれており、強い雨を観測する13.6GHzのKu帯降水レーダ(KuPR)と弱い雨を観測する35.5GHzのKa帯降水レーダ(KaPR)の2台のレーダによって高い精度で雨を観測することができます。雲の中でどのような大きさの雨滴、雪、氷粒子が分布しているのかを観測し、雨雲を立体的に捉えることができます。「GPMマイクロ波放射計(GMI)」は、13の異なる周波数(10.65〜89GHz帯に9チャンネンル、166GHzと183.31GHzに4チャンネル)を使って、雨や雪の降水の分布を幅広く観測します。これらの高精度な観測データは、さまざまな機関を通じて分析され、お天気予報や洪水警報といった私たちの身近な情報にも反映されて行くことになります。観測衛星というと何か遠い存在のように思いがちですが、実は日々の生活に密着した働きをしているのです。JAXAの「DPM/DPRスペシャルサイト」にさまざまな情報が掲載されていますのでそちらもご覧ください。

 

DPRがこれです。KuPRとKaPRの組合せ試験の写真です。/提供 JAXA

 

そして、もう一つ注目したいのが、「H-IIAロケット」の余力を利用して一緒に打ち上げる予定の7つの小型副衛星です。信州大学可視光通信実験衛星「ShindaiSat」香川大学香川衛生「STARS-Ⅱ」帝京大学微生物観察衛星「TeikyoSat-3」筑波大学ネットワーク衛星「ITF-1 結(ゆい)」大阪府立大学「OPUSAT」多摩美術大学&東京大学芸術衛星「INVADER」鹿児島大学「KSAT2」が、若い開発者と研究者の夢を託されて宇宙に向かいます。1つのロケットが、これだけの人工衛星を運んでいるとうのは驚きです。2月28日が楽しみですね。

 

 

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