ロケット・人工衛星・航空機の最新技術を展示!「東京国際航空宇宙産業展2013」開催


2013年10月2日〜4日まで、東京ビッグサイトにおいて「東京国際航空宇宙産業展2013」が開催されました。航空関連事業に関わっている中小企業も多数参加し、その技術の高さを披露しました。会場では、三菱重工業や川崎重工業といった大企業から、特殊な部品やパーツの加工精度の高さを盛んにPRする小さな企業まで331社がひしめき、磨き抜かれた表面や複雑な形状のパーツを見るとまさに物造り日本の真骨頂が感じられました。実物のヘリコプターや人工衛星の模型なども展示され、そのほんの一部ですが、写真とともにご紹介したいと思います。

 

【帝京大学】

 

帝京大学では、小型人工衛星「TeikyoSat-3」のエンジニアリングモデルを展示していました。この人工衛星は、学生が設計し製作したもので、2014年1月に打ち上げ予定のH-IIAロケットに搭載される予定です。


 

【東京大学】

 

東京大学航空宇宙工学専攻超小型衛星センターで展示されていた「ほどよし4号機」原寸大模型。ミッション機器として、6m級分解能光学カメラ、新規技術として高速100MbpsのXバンド送信機、そしてあのイオンエンジンを搭載するそうです。

 

「ほどよし4号機」に搭載される予定の小型イオン推進システム(MIPS)のエンジニアリングモデルです。7.9 kgという軽量なエンジンで、電力も39 Wと低く抑えながら、推力は0.3mN、比推力1200秒という性能を誇ります。完全モジュール化を果たした世界初の超小型衛星用モデルだということで、人間と比べても非情に小さいことがわかります。手前にある小さな穴の下のほうが噴射口で上が中和器です。

 

【早稲田大学】

 

早稲田大学で展示されていた極超音速空気吸込式エンジンを搭載した航空機のカット模型。同大学の佐藤研究室では、宇宙往還機および極超音速航空機の実現を目指しているそうで、JAXA総合技術研究本部と予冷ターボジェットエンジンの研究を進めています。

 

【アリアンスペース】

 

世界の人工衛星打ち上げのシェアの50%を持っているという打ち上げ専門(自社製造はせず他の会社が製造したロケットを使用)のアリアンスペース社のブースには、同社が使用している主力ロケットのアリアン、ベガ、ソユーズの模型が飾られていました。ロケットビジネスに本格的に取り組んでいるアリアンスペース社は、打ち上げる人工衛星の特性に合ったロケットをチョイスして使用しています。

 

【三菱重工業】

 

三菱重工業では、お馴染みのH-IIA(右)とH-IIB(左)ロケットの模型が展示されていました。本物ではりませんが、並べてみると実寸で53mのH-IIAに対して57mのH-IIBのほうが大きいことがわかります。先日打ち上げが成功したイプシロンロケットは24mなので半分以下の高さということになります。

 

【原田精機】

 

浜松の原田精機社では、2008年にISTS(宇宙技術および科学のシンポジウム)に出展された無人の「ローバー」を展示。三角形のクローラを装備しており、その後の進化でパソコンや携帯電話からも操作ができるそうです。

 

惑星探査車両「ローバー」の有人モデルも展示していました。原田精機社は、超小型衛星や地球観測用小型望遠鏡の開発にも携わっています。従業員数22名の企業ですが、積極的に宇宙機器事業に取り組んでいます。

 

【警視庁航空隊】

 

ヘリコプターを使用して警察活動を行う警視庁航空隊が展示したヘリコプターベル式206L-3の「はやぶさ2号」。定員は7名で、650馬力のエンジンで241kmの速度で飛行する。はやぶさは現在4機あります。

 

【アルファーアビエィシヨン】

 

ロビンソンヘリコプターR22を展示したアルファーアビエィシヨン社。同社は飛行機やヘリコプターの養成や機体の販売も行っています。ロビンソンR22は現在オーバーホール施して新造機同等のスペックで販売されているそうです。

 

【首都大学東京】

 

首都大学東京システムデザイン研究科では、「先進複合材と次世代航空技術の研究」として縫合複合材構造および光ファイバセンサ構造健全性監視システムを展示。写真の翼には、翼構造試験装置があり、モニタにその状況を表示していた。JAXAと共同で研究を行っています。

 

【ダブリュー・ツー社】

 

各種技術展示品のデザイン製作を手掛けるダブリュー・ツー社では、T-33A ジェット練習機カットモデルを展示し注目を集めていました。T-33Aは、ロッキード社の機体で第2次大戦後に開発された戦闘機で、マッハ0.8の最高速度を誇りました。

 

【富士重工業】

 

富士重工業航空宇宙カンパニーは、ターボプロップ練習機、戦闘ヘリコプター、各種無人機の開発を行っています。写真は、一見しして無人機(UAV)とわkる模型ですが、実物の実験機が存在します。F15の翼の下に取り付けて発進し、その後空中で分離するタイプです。この他にもJAXAと静粛超音速機技術の研究開発に取り組んでおり「超音速試験機S3CM」を共同開発しています。

 

【IHI】

 

IHI(旧石川島播磨重工業)社に展示されていた日本初のジェットエンジンである「ネ20ターボジェットエンジン」。1945年に特殊戦闘機「橘花」搭載されたエンジンです。日本にはノースロップ大学から戦後に貸与されたこの一基しか残っていないそうです。

 

IHIには最新鋭の大型ターボファンエンジン「GEnx」の模型も展示されていました。ボーイング787に搭載されているエンジンで、低圧タービン回転部およびベアリング室とシャフト、高圧圧縮機後段の動・静翼、低圧タービンモジュールの組み立てを担当しているそうです。

 

【川崎重工業】

 

テレビドラマ「コード・ブルー」にも登場し、緊急救命医療の切り札として注目されたドクターヘリ。ドラマで使用されていたのはマクドネル・ダグラス・ヘリコプターズ社のMD902だが、川崎重工業では国産初のヘリコプターBK117をベースとしたドクターヘリを供給しています。このヘリコプターは、報道や消防・防災など幅広い分野で採用されており、模型に書かれている「JA117K」はヘリコプターリーシング・インターナショナルに納品されたBK117C-2型の登録番号です。

 

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川崎重工業社に展示されていた自衛隊の次期輸送機試作機「XC-2」の模型。「C-1」の後継機として開発され、2014年に配備される予定です。日本で設計・製造された航空機の中では最大の大きさで、全長は「C-1」の1.5倍もあり、最大積載量は4倍近い30トンにもおよびます。しかし、大型化されても巡航速度は逆にアップしており、輸送機として重要な最短離陸距離はぼぼ同じとなっています。

 

こちらは、これまで防衛の要であったロッキード社の対潜哨戒機「P-3Cオライオン」の後継機である次期固定翼哨戒機試作機「XP-1」の模型です。2013年3月より厚木基地に「P-1」として配備されました。

 

【防衛省】

 

防衛省技術研究本部のブースには、ステルス能力の実験機「先進技術実証機」の10分の1の風洞実験用模型が展示されていました。三菱重工業社を主契約として開発が行われており、かつて「心神」というプロジェクト名で非公式に呼ばれていました。次期主力戦闘機としては、ロッキード・マーティン社のF-35A ライトニングIIが決定していますが、さらにその先を見据えた研究・開発を行っています。

 

先進実証機の模型。2014年の初飛行を目指しており、現在製作中です。実際にエンジンを積んで飛行するわけですが、実験データを得るのが目的なので全長は14.2mと小振りです。経費節約のためT-2やT-4の部品を流用するようです。エンジンもXF-5という最大出力約5トンの小型のものを搭載します。

 

 

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