部分月食は曇りが多く – 105年後にしか見られない明日の金星の太陽面通過は台風?


昨日の部分月食は曇りの所が多かったようです。テレビでは盛んに秋田の様子を報道していましたが、関東地方はかなり条件が悪い状態でした。しかも、月は太陽日ほど明るくないので、雲が少しでもあるとまったく見えなくなってしまいます。さらに空がまだ明るいうちに月が昇り、そのまますぐ月食に入ったため、余計に見えづらい状態でした。昨年の皆既月食はよく晴れていただけにとても残念です。皆さんはいかがでしたか?欠けていく様子は見られたでしょうか?

 

ようやく月がかすかに見えたのが20時40分頃でした。食分はまだ20%ぐらいは残っているはずですが、望遠鏡で見ても欠けているのか欠けていないのかわかりませんでした。

 

21時20分頃の月です。もう食分はないはずですが、20時の月と比べてもやっぱりなんだかよくわかりません。写真としての雰囲気はいいんですけどね。

 

さて、月食のことはとりあえず忘れて、明日はもう非常に珍しい天文現象である金星の太陽面通過(日面通過)です。次回は105年後の2117年12月11日ということですから私たちは絶対に見られないでしょう。たぶん。

 

この天文現象は、先日の金環日食に似ていて、太陽と地球の間に月が入る代わりに金星が入ります。この現象を起こす事ができる星は、地球の衛星である月、そして、地球よりも太陽の内側を回っている内惑星である金星と水星の3つだけです。衛星と惑星では星としての立ち位置が異なるのですが、内惑星は月と同様に満ち欠けも起きます。金星や水星がもっと見かけのサイズが大きければ日食のように太陽を広範囲に覆う事ができるかもしれません。しかし、金星の見かけの大きさはとても小さく、太陽の100分の3ほどしかないため、ちょうど太陽のホクロみたいな感じで見えるはずです。

 

さて、ここで金環日食で使用した日食メガネ(グラスも含む)の登場ですが、これで太陽を見た方はわかると思いますが、太陽の大きさでも肉眼ではかなり小さく見えます。そのため、太陽面を通過するときの金星を確認するのはかなりたいへんです。視力が良くないと見るのはちょっと厳しいかもしれません。しかし、だからと言って双眼鏡や望遠鏡で見るのは絶対にやめましょう。このブログでも何度も訴えてきましたがとても危険です。専用の機材がないと撮影することも不可能なので気をつけてください。詳細は「危険が伴う太陽撮影!NDフィルタも注意が必要」や「日食撮影用のフィルタを用意する」でも紹介しています。

 

また、日食メガネを通して見る場合でも金星が小さくて見つけにくいためにじっと目を凝らして長時間見てしまう可能性があります。日食メガネで太陽を連続して覗いてよい時間はせいぜい数分です。長時間見続けると日食網膜症になってしまうので注意してください。

 

では、以下が関東地方での金星の太陽面通過のおおよそ時間です。国立天文台の「日面経過各地予報」のホームページで各地域の時間が確認できるのでご確認ください。実は今回の天文現象は、7時から14時ぐらいまで、なんと7時間近くにおよぶ大イベントなのです。全部観察しようと思えばほぼ一日仕事となります。

 

◯07時10分頃 外蝕のはじめ(高度31.0度)

◯07時28分頃 内蝕のはじめ(高度34.6度)

◯10時29分頃 最小角距離(高度70.0度)

◯13時29分頃 内蝕が終わる(高度62.8度)

◯13時47分頃 外蝕が終わる(高度59.4度)

 

気になる天気ですが、あろうことか台風3号が日本の下を通過している状況で、現在南大東島の北約120kmにいます。瞬間最大風速は50m/sとそれなりに大きな台風です。気象庁のホームページの「台風情報」を見ると関東以北は雨が多く、逆に西日本は晴れが多いようです。関東はちょっと厳しい感じになってきました。四国や九州はいい感じですね。各地域の詳細は気象庁のホームページの「天気予報」を見てください。さあ、明日はがんばりましょう。一瞬でもいいので金星が太陽を通過しているシーンが見たいと思います。

カテゴリ: 月食, 惑星, 編集部から
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