T.B.C. (Terminal Baggage Claim)
ほとんど十五年前の夜 ほとんどおなじ部屋 ほとんどおなじベッド その襞奥で虹を架ける ぼくの腕と 脇のくぼみに丸まって 煙草を吸い D.K.はこう呟いた「ニューヨークから ロスへジェットで飛ぶ.....
アンへリート
生き延びるためには技術が必要でした。 あの子がここに映っています。 白い服を着て、手には花をもって。 砂まみれの床板を横切ってゆく昼の陽射し。 悲しいことは何もありませんでした。 悲しいという.....
第十六週
この街から夜という夜を奪ったガソリンスタンド大炎上は、 三日三晩燃え続けた。 モノクロの映画の中に真つ黒な血が流れてた昨夜のさむさ 少年は真っ黒な燃え跡のなかに、 二つの指輪がかすかにきらめく.....