あれは たしか
転校生だったころ。
新品のかばんに
新品の海をなみなみ注いで
教室からながめていたのだ
だされた宿題は
――この宇宙に名前をつけよ
先生の苗字は覚えていない
単元が遅れていたんだ、恥ずかしい 彼は木星みたいに笑う
しろいくつ海に落としたと嘘をつく ブラックホールみたいに好きで
ブラックホールみたいに好きだ
現在進行形で舟はすすんだ
上弦と下弦の区別はつかない
たからものの日々です
彼あなたわたし彼女きみが
家族になりうる四月のおわりに
黒板消しが指紋になじんで
――傷ふさぐ絆創膏
きみとわたしのベッドのしたに眠りたる×××、水浸しのまま笑う
お皿抱いてキッチンにいる 箱舟を出航させないように何度も
2014.5.1