千葉の中学生は水曜日の真っ昼間にサンドイッチ下げて土煙巻く。
春野は怒りに似た草の暑さと、成長しなくていい水色のやつらの
すずしい気圧線まで見えてくる。
幼心の午前逃亡、咎は少ない、まだ十時の岩の影。
ニキ山のノートをかりて、ニキ山の家のほうへ、
まだ歩いたことのないアスファルトが続いている坂になっている
だから上ると茶色い土山に草が刈られて短く風に向かい尖っている
そのちくちくした野へ踏み入れると
現れるキューブ形状ぼくの夢のなかでいつか通ったスクール。
赤い戸板で窓が塞がれて、水の止まったゴムホースの気配がそこかしこにする。
ぐるりと回って、締め出されて、
草の間に埋もれて読むことにしたニキ山のノートに、記されたセンテンス
I have been listening the Weakly Radio for five years.
草のそよぎ、冬から春へむかう微弱な電磁波、
咎の少ない午前逃亡、まだ十時の草のひややかさ
ぼくは五年後も生きていて、二十年後も、もしかして生きているかもしれない。
2月18日、総武線にて検見川駅を通過。石田瑞穂さんへ。
2014.2.19