きみが冷凍庫に住む、2


冷静な換気扇からためらいなく

湯気たてず きみが冷凍庫に住む

しらないとさけびながら

枇杷の花

しっているのだろう

 

しらないのです

この家になれないままで 住む庭の

雪折れてはまた雪折れて

 

 

しらなくて びわ、びわの実を剥きながらそれでも家にかえりましょうよ

ひとかけの氷のみこむ喉の奥、世界、たやすくしみとおるまで

 

 

口腔からながれこむ地図

はじまってしまった

縁側がそこなわれた

 

気圧さげ沸点にむかう真昼

先日に窒息したこどもたち

凍てつく くびすじ

むきだしできみをだきしめる

しぬだなんてばかげている

 

 

経血をからませながら抱き合ったあなたは繭になっていったが

額縁のへりを汚して少年は毛玉だらけのsexualを知る

 

 

色あせて

ただ飾られる

血管、ふと

しもやけた右手だけ

覚えています

 

タンスから舞いもどるため

捨てられず

洗濯機まわる編むほどにまわる

 

 

ばかげてる おまえのまぶたの裏にあるあおい線路をおいかけていく

すずのねのころがるまふゆの滑走路はうすい光に濡らされたまま

 

2014.1.23

カテゴリ: シーズン1, 気管支たち/野口あや子+三角みづ紀
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