あにがまた居眠りしてる冷凍庫のなかのうすみどりいろの心臓
あめゆきにうすいまぶたは濡れながらあによめがあにを探す夜更けよ
途端に内耳をさまよう声
皿を洗いながら
ゆびさきをしめらす出口まで
ひとびとが絶えるやさしさまで
台所が躯体と呻りだす
つめたい と告げるか
電柱が灯り
失くした靴のかかとが減って
冷飯をいびつに積んであによめが(血がさわぐのだ)あなたに告げる
耳打ちの内々祝いざんらざんらと煮干しのまなこみひらいている
呼吸たちの手紙。
散りながら吹く。
わたしたち不在。
「あいしすぎて凍結したのです」
あなたがたべないのなら
あなたをめぐることなく
瞳孔、うちぬいて
交通規制
2014.1.16