菊花賞コラム(JIN)~菊花賞でワンアンドオンリーを頭固定で買えない“ワケ”~

■秋華賞は◎○▲の印通り決着

先週の秋華賞◎ショウナンパンドラが1着。浜中俊騎手の見事な騎乗に導かれ、牝馬クラシック最後の栄冠を手にした。

先週のコラムでは、秋華賞の注目種牡馬としてディープインパクトを挙げていただけに、嬉しい勝利だった。

2着のヌーヴォレコルトは対抗、3着のタガノエトワールは3番手に推していたため、完全的中となった。

今週もこの勢いに乗っていきたいところだ。

 

■ワンアンドオンリーの評価は?

菊花賞はワンアンドオンリーの“1強ムード”が漂っている。

皐月賞4着、ダービー制覇、前哨戦の神戸新聞杯でもライバルを退けたことを考えれば、当然の論調と言えるだろう。

しかし、ワンアンドオンリーに死角がないかといえば、そうではない。

少なくとも私はそう考えている。

例えば血統で馬券を買う人間からすると、「頭固定」は危険に思わずにはいられない。

ワンアンドオンリーの頭固定が危険な理由

ワンアンドオンリーはハーツクライ産駒だ。

ハーツクライといえば豊富なスタミナを誇る種牡馬で、ウインバリアシオンが天皇賞春で馬券になり、ギュスターヴクライやフェイムゲームが3000mを超える重賞を制している。スタミナ面では問題ない。

しかし、“圧倒的1番人気”というシチュエーションがなんとも不気味だ。

ハーツクライは1番人気での期待値が低く、2、3番人気での期待値が極めて高い種牡馬なのだ。以下のデータは、ハーツクライ産駒の重賞における人気別の成績をまとめたものだ。

 

◆ハーツクライ産駒成績

集計期間:2010.10.16 ~ 2014.10.19

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人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値

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1番人気 6- 4- 1-12/23 26.1% 43.5% 47.8% 66 64

2番人気 4- 5- 5-13/27 14.8% 33.3% 51.9% 80 86

3番人気 4- 4- 0-12/20 20.0% 40.0% 40.0% 162 85

4番人気 0- 4- 1- 8/13 0.0% 30.8% 38.5% 0 85

5番人気 2- 1- 2- 8/13 15.4% 23.1% 38.5% 211 107

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ご覧のとおり、なんと1番人気の複勝率より2番人気のほうが高い。さらに複勝回収値は1番人気がワーストとなっている。

 

これはどういうことなのか?

ハーツクライという種牡馬を説明する上でヌーヴォレコルトの戦績が非常にわかりやすいため、引用して説明しよう。

 

■ヌーヴォレコルトに見るハーツクライ産駒の特徴

ヌーヴォレコルトはオークスを2番人気で迎えた。2番人気と言っても、ハープスターが単勝オッズ1.3倍という圧倒的1番人気に支持されていたため、単勝オッズは9.8倍。

つまり、オークスのヌーヴォレコルトは明らかに“挑戦者”だった。

普通にレースをしたら負ける。だから思い切ったレースをすることが求められる。それがオークスのシチュエーションだったのだ。

実際、ヌーヴォレコルトはハープスターより積極的な競馬をし、直線で早めに抜けだして押し切ることができた。

挑戦者として大胆な競馬をすること。鞍上が守りに入らず、積極的に乗ること。

それが、ハーツクライ産駒が最も力を発揮するシチュエーションなのだ。

一方、秋華賞ではどうだったか?

今度はヌーヴォレコルトが圧倒的な1番人気に支持された。

すると、中団から構えて直線で外に出すという“王道”の競馬をすることになった。しかし、こういった消極的な競馬でハーツクライ産駒の良さを出すことはできない

結果、ロスなく内をついて先頭に踊りでたショウナンパンドラに屈することになった。

岩田騎手は1番人気だから外を回す競馬を選択した。2、3番人気ならショウナンパンドラの浜中騎手のような乗り方をしたはずだ。

圧倒的1番人気馬がするような消極的な競馬はハーツクライ産駒には合わない。

秋華賞のヌーヴォレコルトが、それを証明している。

 

■神戸新聞杯は1番人気で勝利したが……

ワンアンドオンリーは神戸新聞杯で圧倒的1番人気の支持にこたえた。当然のことだが、力が抜けていればああいう芸当もできる

ただ前哨戦を勝ったことが菊花賞でプラスに働くとは限らない。

神戸新聞杯で勝ったため、菊花賞で単勝1倍台の支持を受けることはほぼ確実になった。どんなにオッズが落ちても、2倍台前半だろう。

そうなると、“王道の競馬”が求められる。となると、どうしてもハーツクライ産駒の良さが消されてしまう。

思えばダービーは積極的な先行策が実って得た栄冠だった。3番人気というシチュエーションは、ハーツクライ産駒にとって絶好だった。

今回の圧倒的1番人気というシチュエーションは、あまり好ましいものではないはずだ。

だからこそ、ワンアンドオンリーを頭固定にするのは危険と言わざるをえない。

 

では、どんな馬を買えばいいのか?

最終的な判断はレース当日の午前中にアップする予定。乞うご期待!

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菊花賞コラム(倉本匠馬)~最もステイヤーとしての素質を持っているのは~

今回スプリンターズステークスに引き続き特別コラムを書く事となりました。

3000mは全ての馬にとって未知な距離である為、力のある馬が必ず勝てるレースではありません。

その辺りを意識した上で読んで頂ければ幸いです。

 

そもそも3000m以上の距離が得意な馬は2000m以下のレースでは通用しない事がほとんどです。

もちろん不適な距離でも力で押し切る馬もいますが、求められている力(長距離だとスタミナ)が違う以上ハンデが大きくなります。

 

では、どうすればその馬の適距離が分かるのでしょうか?

近年では遺伝子検査も徐々に取り入れられ、解明されつつありますが、基本的には【馬体】を見れば一瞬で分かります。

血統、調教ももちろん一部の要素となりますが、馬体を見ればその馬の血統は一瞬で判断出来るので気にする必要はありません。

 

今回全ての馬を取り上げる訳にはいかないので、1番人気になりそうなワンアンドオンリーと穴馬1頭の計2頭について解説します。

今回特別に取り上げる穴馬は勝ち負けになる可能性もあると思っていますので注目して頂ければと思います。

 

①ワンアンドオンリー(横山典騎手)

父 ハーツクライ

母父 タイキシャトル

適距離:マイル~2000m

ステイヤー適性:D

 

総評:ダービーで◎に打った馬であるが、皐月賞の段階から内枠を引かなければ厳しいと思っていた馬である。地力でダービーを制覇したが、この馬のポテンシャルを考えると内をロスなく回る完璧な競馬でイスラボニータと0.1秒差は最後確実に脚が鈍っていた。馬体から見てもマイル~2000mがベストでそれ以上の距離を走ると2400mだとギリギリ誤魔化せるが、脚が止まってしまう。今回更に600mの距離延長は確実にマイナスで、3000mラチ沿いをロスなく回ったとしても最後の200mで脚がバッタリ止まってしまうであろう。血統、馬体、調教面全てにおいて心配要素があり先週のレッドリヴェールのようになりかねない。能力でどこまでやれるか

 

②メイショウスミトモ

父 ゴールドアリュール

母父 アジュディケーティング

適距離:長距離

ステイヤー適性:A

 

総評:血統から見ると完全にダート馬であるが、馬体面から見ると芝もこなせそうである。今回出走する可能性の高い18頭の中で最もステイヤーとしての素質を持っており他が対応出来ない場合は勝ち切る可能性まであると見ている。一度札幌2歳ステークス時に芝を経験しているが、その時の内容も着差ほど悪くなくハミを取らなかった事を考えるとこのメンバーに入って通用しても驚く事ではない。楽しみな1頭で他の馬の馬体次第では本命候補に挙げても良いと思っている馬である。是非注目して頂きたい。

 

他の馬の中で3000mが特に合いそうに無いのは

①サトノアラジン

②トーセンスターダム

である。

この2頭に関してはワンアンドオンリー以上に適性が無いので無印評価の予定である。

 

以上数少ない馬であるが、3000m適性について取り上げた。

メイショウスミトモ以外にも2.3頭ステイヤー適性のある馬がいるのでそれは土曜日の夜公開する菊花賞予想を『東西後半全レース予想』、『自信の4レース+重賞レース予想』で確認して頂ければ幸いです。

 

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秋華賞コラム(JIN)秋華賞で“ベタに狙いたい”注目種牡馬とは?

今週の最大目標は牝馬クラシック最終戦の秋華賞だ。

今回は血統検証を行っていこう。京都芝2000mではどのような血が強調できるのか?

 

まず挙げなければならないのが、なんといってもディープインパクトだ。

外回りに比べると内回りはいささか成績は落ちるものの、やはり注目せざるを得ない。

 

◆ディープインパクト産駒成績

集計期間:2011. 1. 5 ~ 2014. 6. 1

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着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値

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18- 18- 16- 61/113 15.9% 46.0% 60 85

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※独自の方法で集計しています

 

回収値は高くないものの、好走率はさすがの数字。

なお、内回りに限らず、「京都の芝重賞(1600〜2400m)」という括りで見てみると、さらに警戒しなければいけないことがわかる。

 

2014年に行われた京都芝重賞におけるディープインパクト産駒の成績は・・・

 

◆ディープインパクト産駒成績

集計期間:2014. 1. 5 ~ 2014.10.14

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着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値

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7- 4- 3- 7/21 33.3% 52.4% 66.7% 158 117

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ご覧のとおり、驚異的な成績を挙げている。行われた9レースのうち、7レースで勝利したのがディープインパクト産駒だったわけだ。複数頭出走しているケースが多いため、勝率は下がってしまうものの、実際は凄まじい成績を残していることになる。

 

実際、先週行われた京都大賞典でもディープインパクトが1、3着に入った。

さらに付け加えると、過去17回の京都における重賞では、実に2013年の京都記念以降、ディープインパクトはすべてのレースで馬券に絡んでいる。

 

今回、ディープインパクト産駒の人気馬はショウナンパンドラくらいだろうが、侮らないほうがよさそうだ。

 

なお、ディープインパクト以外にも秋華賞で注目すべき種牡馬、血統は存在する。

 

秋華賞の予想完全版は当日の午前中にアップ予定。乞うご期待!

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秋華賞コラム(ASATY)

皆さん、こんにちは!

 

先週は、3日開催に台風の影響がプラスされて、超変則の開催となりました。先週ピックアップした京都大賞典は、台風の影響で開催が火曜日に。提供した月曜用の予想では、台風前の大雨→重~不良馬場を想定し、すでに京都外回りのG1で勝利経験のある◎メイショウマンボを指名しましたが、開催が中止され、台風一過の火曜日は良馬場。まったくリズムの合わない、見当はずれの予想になってしまいました。

 

さあ、気を取り直して秋のG1第2戦!

 

【秋華賞】

 

ピックアップレースはもちろん秋華賞です。今回も、過去3年で6番人気以下から激走した馬を分析してみたいと思います。対象馬は、2011年7番人気2着のキョウワジャンヌ、2012年6番人気3着のアロマティコ、2013年15番人気3着のリラコサージュです。

 

① 血統

 

3頭中2頭がキングマンボの血を持っていました(アロマティコ:父キングカメハメハ、リラコサージュ:母父キングマンボ)。ちなみに、残り1頭もミスプロの血(キョウワジャンヌ:母父シーキングザゴールド)を。

そして、2頭がサンデーサイレンスの血(キョウワジャンヌ:父ハーツクライ、アロマティコ:母父サンデーサイレンス)を持っていました。サンデー系は、G1でも活躍馬を輩出するようなメジャーなサンデー系がよく走ります。

サンデー系×ミスプロ系(特にキングマンボ系)というのが黄金血統ですね。

 

② ローテーション

 

人気馬、穴馬を問わず前走ローズステークス組が断然なのですが、少し分析を。馬券になる馬は、前走(どのレースを使っても)4着以内に好走している馬がほとんどなのですが、リラコサージュのみはローズステークスで18着と最下位でした。ただ、2013年のローズステークスは重馬場で行われ例外と言っていいでしょう。今年のローズステークスは良馬場で行われていますので、4着以内の馬に注目です。

 

もう少し分析を進めると、キョウワジャンヌも前走ローズステークス組(3着)ですが、前々走は1000万条件(1着)を使っていました。アロマティコは前走1600万条件(3着)で、前々走は1000万条件(1着)。近走で条件戦を使ってきた馬、つまり夏の上がり馬は要注意ということです。

 

③ 脚質

 

リラコサージュを例外とすると、残り2頭は上記の条件戦(キョウワジャンヌの前々走:1000万下、アロマティコの前走:1600万下、前々走:1000万下)ですべて上がり1位を記録しています。キョウワジャンヌの前走ローズステークスも上がり4位で33秒台。速い上がりの出せる、差し・追い込み馬が穴を開ける傾向にあります。

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秋華賞コラム(K.ヤマモト)

第19回 秋華賞(GⅠ)

 

『今年の秋華賞≒“ドカベン”』

 

今、そこでこのサイトを目を吊り上げて、眉間にしわをよせて見ているあなたへ!

 

ああでもない。こうでもない。と、一生懸命、秋華賞をなんとか的中したいと思っているそこのあなたへ。贈りたいと思います。

 

突然ですが“ドカベン”と言うマンガをご存じだろうか?多くの方が間髪いれずに「知っている」と言うでしょう。ちなみに知らない方は、ウィキペディアか何かで調べて下さいね!!そう、高校野球を舞台とした不朽の名作マンガです。神奈川県(当時は「神奈川を制する物は全国を制す!」と言われていた)明訓高校(架空)の球児たちが全国の強豪校を相手に、凌ぎを削り頂点に立つと言うマンガである。原作は、水島新司さん。自ら草野球チームを持つなど大の野球ファンだ。

 

そして、ドカベン=山田太郎と言う公式が殆どの人がそう浮かぶだろう。それが正解。その山田太郎が軸になって物語が構成されているマンガなのだ。しかし、多くの人が間違っているのだ。確かに軸は、絶対的な安定感(作品中の彼もそう言う風貌)山田太郎なのだ。しかし、この“ドカベン”と言うマンガは、その絶対的な安定感、山田太郎と言う軸がしっかりしているからこそ、他のキャラクター、里中君や殿馬、徳川監督、夏子はん、そしてめちゃくちゃな破天荒の岩鬼正美と言うとんでもないバラエティーに富んだキャラクターが生きて来た作品なのである。

 

少し話はそれるが、こう見えても当時、自分も白球を追いかける日々にあけくれていた。それこそ、背が小さく、セカンドを守っていて打順が1番か2番だった自分は、公式戦で『秘打!白鳥の湖』を試みた事もあるほどだ。(勿論、結末はご想像の通り、監督にこっぴどく叱られました)そういった意味でのこの“ドカベン”に置いての私の主役は、殿馬、ズラ♪だったのかも知れません。

 

何が言いたいか?この“ドカベン”と言うマンガは、山田太郎と言う絶対的な軸がいたので、その他のキャラクターが生きてきたマンガなのです。

更に原作、水島新司さんも最終刊の最後のあとがきでこう言っているのです。

 

「私は、このハチャメチャの岩鬼を書きたくてこのマンガを世に出したのだと。そして、このマンガの主人公は、誰であろう岩鬼なのだと!」

これで分かりましたね。そう、今年の秋華賞は“ドカベン”なのだと。

 

安心して基本と言うか、軸はあの馬で良いのです。間違いなく、かなりの確率でこの競馬を大きく受け入れてくれるでしょう。

と、まわりくどい言い方はやめましょう。絶対的な軸馬は、桜花賞3着、オークス1着、ローズS1着の“ヌーヴォレコルト”なのです。

が、しかしです。あくまでも彼女は【軸であって主役では無い】のです。

多くは触れません。これはあくまでも競馬?正確には馬券のテクニックなのですが、絶対的な軸馬がいる。しかし、それが主役では無い。ならば、馬券はこのヌーヴォの3連単、2,3着付けのフォーメーションは如何でしょうか?

 

過去10年は1番人気は2勝に対して、2番人気は6勝と明らかに2,3着にピッタリだと言う事。そして、どうやら今開催の京都の馬場は差せる京都と言う判断なら、一旦先頭に躍り出た軸のヌーヴォを目標に後ろから来る馬こそが本当の“主役”だとなりえるのです。

どう考えてもヌーヴォが1番人気、しかも断然のグリグリの支持を集めるはず。ならば、余計に狙ってみましょう。しっかりとした受け皿、安定してかなり信頼できるヌーヴォと言う捕手がいるのですから。主役は山田太郎ではなく、岩鬼や殿馬なのですから。3連単フォーメーション、ヌーヴォの2、3着付けを自信を持ってお勧めしたいと思います。

 

是非、岩鬼や殿馬、里中君に徳川監督(べらんめー)、夏子はんと言う、あなたの主役を見つけて、絶対的な軸、ヌーヴォにぶつけてみませんか?

そしてそのヒントが、ヌーヴォより後ろでレースをする馬!だろうと言う事は予想家らしく言っておきたいと思います。

 

乱分、乱筆をお許し下さいませ。重ねてこの下らない長文を最後までお読み下さった事を深く感謝致します。

 

そして、そして最後の最後にもう一言!!

 

何故?ヌーヴォが主役では無いのか?と言う答えです。

どうであれ、真の主役は誰が何と言おうと「ハープスター」だと言う事だからです。

 

ご清聴ありがとうございました。皆様の秋華賞のご健闘をお祈り致します。

 

K.ヤマモト

カテゴリ: 重賞展望