「すべての囲碁ファンに捧げる5つの金言」~武宮流・空中大ゲイマ!?~

5人のトップ棋士による上達講座「すべての囲碁ファンに捧げる5つの金言」。
先日は本書のプロローグに軽く触れたので、今回は肝心の講座部分を紹介します。

 

私が個人的に参考になったのは、武宮九段による「置碁」の布石講座。
ここでは四子局、六子局での黒の序盤作戦を解説しております。
まずはこちらのテーマ図をご覧ください。

六子局で、白1,3のカカリに5とボウシされた局面。
置碁における白の常套作戦としてよく出てくる形です。
このボウシ、黒としては本当に嫌なものです。
そこで、武宮九段が勧める黒の次の一手をご紹介しましょう。

それがこの黒1の大ゲイマ。
武宮九段はこの手を「武宮流・空中大ゲイマ」と名づけています。。
この手を勧める理由は、とにかく後の変化が簡明という点にあります。
黒が知っておくべきなのは、白aと白bへの対策です。

まずは白1ときた図から考えます。
素直に黒2とオサえると、白3,5と仕掛けてくるでしょう。
このあと黒a、白b、黒cで戦いになりますが、六子の棋力差を考えると、黒はあまり望まない展開といえそうです。
そこで黒としては…

黒2とコスむのが好手なのです。
黒1子は弱くなりますが、代わりに黒6までとなったワカレは、分かり易く黒よしです

次に白1とツケてきた場合です。
この手には黒は挨拶せず、逆に白△にツケ返すのがうまい。
黒4までとなったワカレも黒△の味残りということで、黒に軍配が上がります。

 

以上のように、黒は白の応手をうまく受け流すことができるのです。
この武宮流・空中大ゲイマ、実はこの局面だけではなく、様々に応用可能なのです。その万能ぶりは本書でご確認ください。

 

最後に、編者の田村氏が置碁について述べた箇所が下手の気持ちを的確に表現していたので紹介します。

 

…置碁におけるたのしみは、もっぱら上手の所有に帰するようである。下手は白石の魔力におびえ、出もしないオバケをこわがり、ふるえ、ちぢみ、ひたすら後退し、みずから敗戦の淵に足を運ぶ…

 

黒を持つ機会が多い方、共感できませんか?(笑)
そんな方こそ、今回の武宮九段の講座がよいヒントになるはずです。

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