捨石の美学

私が一番好きな勝ち方があります。
それは、相手にたくさん石を取らせて、最終的にコミガカリで勝つような対局です。
特に、自分と相手のアゲハマの差が大きいほど、尚よいです。
囲碁というゲームが「石を取った数ではなく、石を効率よく働かせた方が勝ち」ということを一番実感できるからです。

 

ですから私は捨石の手筋が大好きです。
10子以上の石を捨てて勝ったときなど、相手の大石を取った時よりも嬉しい(笑)。
ところが、最近の私はそれが悪癖になってきました。
石を「助ける」よりも、まず「捨てる」ことを考えてしまい、大事な要石もあっさり相手に献上してしまうのです。
「断捨離」という言葉を近頃よく耳にしますが、石の捨てすぎには皆様もお気をつけ下さい。

 

捨石といえば、たまに政治家の方が「私が捨石となって云々」とおっしゃっています。
ほとんどの場合、自らを否定的なイメージで捉えていますが、元の囲碁用語で考えるとそれは違うはず。
もっとウキウキと「今回、喜ばせながら私が捨石になることになりました! 大変嬉しく思います!」ぐらい言ってくれませんかね?
そんな政治家がいたら、私はいっぺんにファンになってしまいます。

 

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