「ヒカルの碁」に精神を学び、「石倉九段」の本でルールを学び、「AI囲碁」で対局する – 3【iPhoneアプリ】

こんにちは。ケイです。初心者向けの無料電子囲碁雑誌「IGOJIN Beginners Vol.1」を創刊しましたが、編集部では上級者向けの「囲碁人」に向けて作業の真っ最中です。こちらは、とにかく強くなるために実践的な内容にポイントを置いて構成しています。読者の皆様が早く初段になって、さらなる囲碁の深みにハマっていただけることを願っております。8月後半には創刊する予定ですので少々お待ちください。

 

なお、「IGOJIN Beginners」が読者の皆様の環境によって、読む際に不具合が生じているという連絡をいただいております。たいへんご迷惑をおかけしておりますが、急ぎ改善中ですのでしばらくお待ちください。申し訳ございませんでした。アップデート情報は随時このブログと特設ページでお知らせいたします。

 

さて今回は、通勤時間で囲碁を学びたい方のための入門アイテムとして「ヒカルの碁」に続き囲碁ソフトの「AI囲碁」を紹介します。「IGOJIN Beginners」を読んで「囲碁を始めてみようかしら」と思っていただけた方がいらっしゃるようでしたらとても嬉しいのですが、前回でも書いたように社会人になってから囲碁を学ぼうとすると結構たいへんなんです。そこで、私は石倉九段の「決定版! 囲碁入門その後の最速上達法」入門書と「ヒカルの碁」を読んで囲碁のルールや精神的な面を学びはじめたわけですが、個人の努力だけではどうにもならないことがありました。それが「対局」です。

 

囲碁に限ったことではありませんが、いくら本を読んで知識を貯えても実際に経験を積まないと上達はありえません。布石や定石、手筋といった本もある程度強くなっていれば内容をきちんと理解できると思うのですが、ルールしか学んでいない初心者がいきなり専門書を読んでも役には立ちません。まずは実際に石を打って囲碁の流れや言葉の意味を体験することが大切です。ところが、通勤中しか囲碁に時間を割けない私は碁会所に行く事も先輩にじっくりと教えてもらうこともできませんでした。そんな時に出会ったのがiPhoneアプリの「AI囲碁」でした。

 

iPhone用の囲碁アプリには「AI囲碁」の他に「銀星囲碁」「IT囲碁」などがあり、それぞれ無料版が用意されています。購入する前にこの3本を実際にプレイしてみました。その時の感想ですが、まず「銀星囲碁 Lite」は、機能は豊富ですが、コンピュータの反応が少し遅くてサクサク打つことができませんでした。また、一番弱いモードでも容赦なく厳しい打ち方をしてくるので、超初心者の私は囲碁の楽しさを覚える前に挫折してしまいそうでした。ある程度の経験を積んだ人なら楽しく遊べるとは思いますが、まったくの初心者にはちょっと辛いアプリです。

 

世界最強のAIエンジンを搭載し、機能が豊富な「銀星囲碁」。初心者にはもう少し易しいモードが欲しいところです。まあ、普通に打てる方なら問題ないと思います。

 

 

「IT囲碁 Free」は、石を打つ際に盤面が自動で拡大するようになっていて、iPhoneで19路盤のモードでプレイしても打ちやすいのが特長です。さらに「定石手の表示」というオプションもあって、打つ場所を指導してくれます。しかし、9路盤では19路盤と同様に画面が自動で拡大されてしまうので逆に違和感があり、個人的にはどうしても慣れることができませんでした。

 

「IT囲碁」は、自動拡大機能が付いていてiPhoneで19路盤をプレイしても操作がしやすいのですが、9路盤では逆に打ちづらく感じました。

 

「AI囲碁Lite 2」は、反応が早くて軽快に打てるところもいいのですが、なによりも気に入ったのは、強い相手を打ち負かしてランクアップしていくというゲーム性の高さです。AI設定を自動にしておくと、プレイヤーが勝ち進むたびにコンピュータのランクもアップします(フリー版はランクに制限あり)。例えば、自分が20級だとコンピュータは18級、自分が13級だとコンピュータは12級といったように自動で設定され、コンピュータに勝てばランクアップし、負けるとランクダウンします。せっかく頑張って20級ぐらいまで上がっていても疲れてきて頭が回らずに負け続けるとあっという間に25級ぐらいまで下がってしまい悔しい思いをします。

 

通勤時間でプレイするのに選んだのが「AI囲碁」です。なんでもコンピュータ囲碁選手権で3度優勝した「The Many Faces of Go」というエンジンを採用しているとか…

 

チュートリアルはちょっとした入門書と同じぐらいボリュームがあり、内容も充実しています。

 

しかもこのアプリのいいところは、コンピュータのランクが低いとそれなりに悪い手を打ってくるところです。「えっ、そんなところに打っていいの?」という所に石を置き、こちらが命拾いすることも多々ありました。それがレベルがアップしていくと次第に厳しい打ち方になるので、まるで碁会所でどんどん強い人と対局しているような気分になれます。だから、超初心者でもすんなりと入り込めるとともに長くプレイしても飽きません。形勢の表示もわかりやすく、さらに囲碁のルールを解説した丁寧なチュートリアルも付いたので、まずはこのアプリを購入して打つ練習を開始しました。

 

自分のランクに応じてコンピュータのランクも自動でアップできる機能を備えています。

 

相手がiPhoneですから気を使ったり遠慮する必要もないので、通勤時間をすべて費やして打ち方を覚えました。周りの目もないので負けても恥ずかしくないですし、iPhoneはバッテリが続く限りいつでもどこでも相手をしてくれます。実際、どこまで強くなったかはともかくとして、「AI囲碁」のおかげでそれなりに打てるようにはなったと思います。初めて9路盤で実際に対局した時も勝つことはできませんでしたが、それなりに打つ事ができました。おそらく「AI囲碁」がなかったら、囲碁そのものを途中で諦めていたかもしれません。本当にありがたいアプリだと思っています。

 

とは言いながら、やはり上達するには人と対局して教えてもらうことが一番です。囲碁アプリで練習するのは最初だけにしておきましょう。もちろん、強くなってから囲碁アプリに挑戦するのは、意味が違うのでOKです。

 

ちなみに「AI囲碁」は、かなり古くから発売されていたソフトで、20年以上前から日本で発売されていたようです。私も名前だけは知っていましたが、囲碁に興味がなかったのでプレイしたことはありませんでした。現在は、「AI囲碁 Version 19 for Windows」という最新版がイーフロンティアというメーカーから発売されており、なんでも「モンテカルロ法」という思考ルーチンを採用しているそうです。


 
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