井山裕太当時七段の布石感覚

前回の記事の続きです。

このような局面で、トッププロは次の一手をどう決めるのか?

 

本書では最初にテーマ図を示し、その後に山下九段→井山七段(!)→依田九段の順番で、それぞれの見解を述べる構成になっています。
当時、井山七段は17歳。最年少で名人を獲得する3年前になります。
このテーマ図を見た井山七段の感想は次のようなものでした。

トッププロの意見、かつ正解が出づらい布石の分野ですから、読者の方は「そんな感覚なのかぁ」ぐらいな気持ちで読み進めていただくのがお勧めです。
それにしてもプロの布石感覚はアマチュアのそれとは全く違いますね。

私などは下辺の黒1子にしか目に入らないです。

 

さてこのあと、井山七段は変化図をいくつか考え、次の一手を絞っていきます。
その詳しい変化図は本書でご覧いただくとして、結論として提示したのが次図です。

「あくまで難しい局面」と井山七段。

そこで気になるのが依田九段と山下九段が示した手順。
3者の回答が同じなら話は簡単ですが、やはりそうはなりませんでした。  (続く)

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新刊案内「至高の決断 ~徹底比較!トップ棋士の大局観~」

井山本因坊に山下九段が挑戦している今期の本因坊戦。
この両プロに加え、依田九段、小松九段が関わった何とも豪華な新刊が来月発売されます!

本書は2007年に発売された同タイトルの書籍に修正を加え、再販したものになります。

 

内容を簡単に説明すると、小松九段が出題するある序盤の局面において、山下・依田・井山の3名のトッププロが次の一手を考えるという企画です。
出題局はプロの実戦で打たれたものを題材にしているのですが、回答者には対局者が誰であるかは明かしません。そのぶん、三者の考えの違いがストレートに表れるのがおもしろい所です。

 

では、本書で取り上げている出題図から1題ご紹介します。

黒番です。
まだ序盤早々ですが、プロはこの後の進行をどうイメージしているのでしょうか?
気になる三者の回答は次回の記事で取り上げます。

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詰碁が苦手な人のための詰碁問題集「蘇耀国の詰碁」

 

前回紹介記事

 

来月発売予定の「楽しく解いて強くなる 蘇耀国の詰碁」。
本書の特徴を知っていただくために、まずは次の問題を考えてみてください。

今回の問題集は、形がシンプルで初手の候補も限られている問題がほとんどです。
上の問題もその類になります。

 

 

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少し詰碁に慣れていると、黒1とホウリコんでしまいませんか?というのが本問の意図するところ。
ですが、ご覧のようにコウになっては失敗となります。

単に黒1と切って、黒3まで押す手なし、というのが正解です。
何ともシンプルな三手の読みですが、実戦でもし現れるとコウで満足してしまうかもしれませんね。
このように正解が見つけやすい問題にも、罠がきっちり用意されています(笑)。

 

著者の蘇耀国九段もかつて詰碁が苦手だったそうです。ですので、本書にも、まずは読者が詰碁に親しんでもらえるよう配慮した問題が収録されています。
詰碁に苦手意識がある方、今回の問題集からスタートしてみてはいかがでしょうか?

 

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