置碁で上手に勝つための指南書が近日発売

前回の記事で武宮九段の置碁の講座を紹介しました。
それに関連して…というわけではありませんが、来月上旬発売される新刊も置碁をテーマにした書籍になります。

 

ずばりタイトルは「圧勝・置碁戦法」。
著者は関西棋院の宮本直毅九段です(残念ながら3年前に逝去されました)。
本書、何と30年以上前の書籍を再販したものになります。
ですが、内容は古びておらず、むしろ歯切れよい文体が新鮮に感じます。

 

第1章はこんな出だしです。

下手はつい守備重視の手を打ってしまいますが、それは上手をますます調子づかせる原因になる、と宮本九段は指摘しています。

 

本書は下手側の作戦を数多く解説しているのですが、その紹介はまた次回。

 

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「すべての囲碁ファンに捧げる5つの金言」~武宮流・空中大ゲイマ!?~

5人のトップ棋士による上達講座「すべての囲碁ファンに捧げる5つの金言」。
先日は本書のプロローグに軽く触れたので、今回は肝心の講座部分を紹介します。

 

私が個人的に参考になったのは、武宮九段による「置碁」の布石講座。
ここでは四子局、六子局での黒の序盤作戦を解説しております。
まずはこちらのテーマ図をご覧ください。

六子局で、白1,3のカカリに5とボウシされた局面。
置碁における白の常套作戦としてよく出てくる形です。
このボウシ、黒としては本当に嫌なものです。
そこで、武宮九段が勧める黒の次の一手をご紹介しましょう。

それがこの黒1の大ゲイマ。
武宮九段はこの手を「武宮流・空中大ゲイマ」と名づけています。。
この手を勧める理由は、とにかく後の変化が簡明という点にあります。
黒が知っておくべきなのは、白aと白bへの対策です。

まずは白1ときた図から考えます。
素直に黒2とオサえると、白3,5と仕掛けてくるでしょう。
このあと黒a、白b、黒cで戦いになりますが、六子の棋力差を考えると、黒はあまり望まない展開といえそうです。
そこで黒としては…

黒2とコスむのが好手なのです。
黒1子は弱くなりますが、代わりに黒6までとなったワカレは、分かり易く黒よしです

次に白1とツケてきた場合です。
この手には黒は挨拶せず、逆に白△にツケ返すのがうまい。
黒4までとなったワカレも黒△の味残りということで、黒に軍配が上がります。

 

以上のように、黒は白の応手をうまく受け流すことができるのです。
この武宮流・空中大ゲイマ、実はこの局面だけではなく、様々に応用可能なのです。その万能ぶりは本書でご確認ください。

 

最後に、編者の田村氏が置碁について述べた箇所が下手の気持ちを的確に表現していたので紹介します。

 

…置碁におけるたのしみは、もっぱら上手の所有に帰するようである。下手は白石の魔力におびえ、出もしないオバケをこわがり、ふるえ、ちぢみ、ひたすら後退し、みずから敗戦の淵に足を運ぶ…

 

黒を持つ機会が多い方、共感できませんか?(笑)
そんな方こそ、今回の武宮九段の講座がよいヒントになるはずです。

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「荒らしのテクニック」~その見事なサバキ手順~

来週8月18日発売になる「荒らしのテクニック」。
前回紹介記事では、相手の地をガラガラにする例を紹介しました。
しかし、相手の勢力圏でいつでも欲張れるとは限りません。多少石を捨ててでも、形を整えることを優先する、つまり「サバキ」を要求される場面も出てきます。

 

本書の第3章「小目の構えの荒らし方」からそんな例をご紹介します。

右上に白1と打ち込み、黒2と打たれた場面です。
黒の勢力圏ですので、白はサバきにいきたいところ。
さて、どう手をつけたらよいでしょうか?ポイントは右上隅の大ゲイマジマリです。

大ゲイマジマリの急所である、白1・三々のツケを選ばれた方は多いのではないしょうか? 白7まで隅にフリカワる手順は有名です

ところが黒5までの形になると、黒によい模様を形成され、一方、白は隅にわずかな地を得たのみ。つまり、最初の白の三々ツケは失敗ということになります。

そこで本書で紹介しているテクニックはというと…

白1の肩ツキから、白3のツケ! 何ともかっこいい手です。
この後の変化は本書でいくつか紹介していますが、黒が最強に抵抗した場合の図を見てみます。

黒1、白2と進んで、黒3ツギがその最強の抵抗です。黒は白に何とかサバかせないよう苦心しています。
しかし、白4と出て6と切るのがまたウマイ手なのです。

白1子を黒が取りにきても、6まで白のサバキ形というわけです。
白が隅にフリカワった図と比べると、全く景色が違いますね。

 

最後にもう1問。
右辺の黒模様をどう荒らすか?という問題です。
右上の形の場合、白から代表的な打ち込みの手筋がありますが、今回もそれでよいのでしょうか?
正解は書籍でご確認ください。

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