模様の正しい運用法を身につける!「手厚さの罠」

前回に続いて、「手厚さの罠」の紹介です。

 

模様の碁を打つ際に気をつけるべき点として、本書では次の4つを挙げています。

 

1 模様は広げる
2 模様には早く芯を入れる
3 厚みは広げるな
4 確定地も厚みと考える

 

1と2に関して、どこまで模様を広げていいのか?また、どのタイミングで模様に芯を入れるのか?そのような判断が必要になる場面が実戦でもよく出てくると思います。
それでは、本書から例題をひとつ。

模様を広げるか(A・B)、模様に芯を入れるか(C)という問題です。

 

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正解は模様に芯を入れる黒1!これが全局的にバランスのとれたヒラキになっているのです。
というのは、白の消しの手にも打ち込みの手にもうまい対応があるためです。
詳しい変化図は本書でご確認を。

 

一方、模様を広げるA,Bは広げ過ぎということで失敗になります。

 

 

模様を広げる手は打っていて気持ちいいのですが、それだけ侵入の隙もあるということですね。要注意!

 

手厚さの罠

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厚みと模様の違いとは?「手厚さの罠」

序盤から手厚く打ち、相手に地で先行されても慌てない。

中盤、相手の一瞬の隙をつきパンチを入れ、一転優勢に…。

 

手厚い棋風の方が理想とする勝ちパターンです。玄人っぽい勝ち方で、気分がいいですよね。
が、最後に地が足りなくなって負けることが多いのも事実。
そのような方にはこちら。

 

 

5月中旬に発売される王立誠九段による新刊です。
厚み」と「模様」それぞれの運用方法、またその違いを理解することが棋力アップにつながると本書では説いております。例えば…

 

これは表紙に出ている問題で、厚みの特性を知らないと罠にハマってしまうのです。
正解はA~Cのどれでしょうか?

 

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「厚みは攻めに使え」の格言通り、果敢に黒1(A)と打ち込むのが正解…にはならないのです!
なぜかというと…

 

 

本図のように、白に1子捨てられると、黒は厚みの近くから陣地を増やした理屈になり、厚みの運用の仕方に反するからです。
本書の冒頭にその注意点がずばり述べられております。

 

思い当たる節が多いのでは?
さて、本問の正解は─

 

黒1のツメになります。
実戦ではなかなか打てなさそうな手です。
白1に受けられ、攻めの効果が上がっていないように見えますが、黒の本当の狙いは右下。黒6まで大きな模様を作れば全局的に黒が打ちやすいという構想なのです。

 

次回は模様の正しい運用法をご紹介します。

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打ち碁集「人生を変えた一局」

現在、囲碁・将棋チャンネル内で放送中の「記憶の一局」が書籍になって発売されます!

 

人生を変えた一局

これまで同番組に出演していただいた棋士の中から10人、計30局の対局を収録しています。

 

例えば張栩九段が選んだうちの一局は、5年前に行なわれた棋聖戦挑戦手合い。当時の山下棋聖と対戦した一局です。

 

 

いきなり初手から解説するのではなく、先にハイライトを示してから、その前後の進行を追っていくというのが本書の特徴です。
本局では張栩九段が得意のコウを駆使し、三手ヨセコウ(!)を仕掛ける点が見所になります。

 

 

さて、一気に飛んでこちらが最終譜。左下にとんでもない抜き跡がある通り、白は三手ヨセコウに勝ってしまうのです。「3手ヨセコウ、コウにあらず」の格言が通じなかった珍しい一局となりました。
本局の詳しいコウの攻防は書籍でご確認ください。

 

そのほか、扱っている対局は自身の勝局とは限りません。
山下敬吾九段が「自分の感覚とかけ離れた碁」として取り上げた木谷實─呉清原 戦。
小林覚九段は当時16歳の井山裕太四段に初タイトルを献上してしまった一局を率直に語っています。

 

棋書のジャンルとしては打ち集になりますが、読み物としても十分楽しめる一冊です。

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