次回作は『貞子VS伽椰子』! Jホラーを牽引する白石晃士監督


2016年6月に公開が予定されている話題のホラー映画『貞子VS伽椰子』を監督する白石晃士氏の最新作『ボクソール★ライドショー ~恐怖の廃校脱出!~』が2016年1月16日より公開されます。本作は、映像や音声だけでなく、動き、匂い、風、液体、煙など、映画と連動したあらゆる効果が楽しめる上映システム「4DX」専用の作品です。Creative Nowでは、最新技術で新たな恐怖表現に挑んだ白石監督にお話を伺いました。

 
※4DX開発者インタビューはこちら
 

白石晃士 (映画監督)
1973年生まれ。OVAやテレビ番組で多数の恐怖作品を手がける。POV形式を駆使した『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズで多くのホラーファンに支持される。主な監督作品に『ノロイ』(2005年)、『オカルト』、『グロテスク』(2008年)、『バチアタリ暴力人間』、『シロメ』(2010年)、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最強の劇場版』、『ある優しき殺人者の記録』、『殺人ワークショップ』(2014年)などがある。最新作『ボクソール★ライドショー』が2016年1月16日より公開。2016年6月には『貞子VS伽椰子』が公開予定。著書『フェイクドキュメンタリーの教科書』(誠文堂新光社)も絶賛発売中。

 

最新作『ボクソール★ライドショー ~恐怖の廃校脱出!~』とは

 

──『ボクソール★ライドショー』は4DX専用の短編ホラー映画です。どのような経緯で本作を監督することになったのでしょうか。

 

「元々、ユナイテッドシネマの4DXを活かした短編ホラーを作ってくれという依頼をいただいたのがきっかけです。臨場感を大切にする4DX専用映画を考えたとき、カット割を見せないPOVによるフェイクドキュメンタリーというスタイルは最適だと思いました」

 

──廃校の中で、現実世界と異世界をカット割なしで行き来するという表現は、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズの『真相!! トイレの花子さん』でも映像化されていました。

 

「トイレの花子さんのカット割のない表現はおかげさまで好評でした。今回は4DXでの効果を考えながら、あの表現をさらにグレードアップするという意図もありました」

 

──4DXの機能をどの程度使うことを想定して脚本を執筆されたのでしょうか。

 

「4DXが前提だったので、脚本では1P、1分に1回は4DXの機能を使っています。脚本では座席の動き、煙、匂い、フラッシュなどを、あらかじめすべて細かく指示しました。長編映画で4DX効果を入れすぎると疲れてしまうのですが、短編の上映時間なら楽しめると思ったので、最初から全機能を使うつもりで、出来るだけ詰め込みました」

 

──中には使いにくい機能などもあったのではないでしょうか。

 

「ホラー映画と合わない印象もあったので、雪と泡の使い方は悩みましたね(笑)」

 

映画『ボクソール★ライドショー ~恐怖の廃校脱出!~』
3人の新人アイドルが廃校で肝試しを行い、その模様を映画館のスクリーンで生中継するという企画が行われる。どこにでもあるお約束の恐怖企画が、謎の男の出現をきっかけにとんでもない事態になっていくのだった。
(C)2016VAUXHALLRIDESHOW

 

──4DXの効果を意識した新たな恐怖表現などはありますか。

 

「異世界の映像ですね。これまで、僕が描いてきた異世界では、立体的なカメラワークはなかったのですが、今回は空間性を意識して撮りました。カメラの動きに合わせた椅子の傾きによって空間をさらに立体的に表現できたと思います」

 

──実際に4DXを使われてみて、その可能性をどう感じているのでしょうか。

 

「4DXには3D映画以上の可能性があると思っています。3Dは3D映像を見せるという目的のために、実は撮影自体に制約があり表現的には縛られてしまう部分もあります。正直、3Dよりも2Dのほうが映像としては可能性があるのです。2Dに劇場で処理を加える4DXは、ウィリアム・キャッスル(※)の現代版といえるようなものです。4DXは娯楽映画でしか使えませんが、特にホラーでは可能性を感じます」

 

※1950年代から60年代に、客席に電流を流す、劇場の中に造形物を放つなど、遊園地やお化け屋敷を彷彿とさせる仕掛けを映画上映で行った映画監督。

 

──『ボクソール★ライドショー』の登場キャラクターや異世界描写などは、これまでの白石作品と共通している部分もあります。『コワすぎ!』シリーズとのリンクなどは意識されているのでしょうか。

 

「多少は意識して脚本を書きました。もちろん、僕の作品を初めて観る方でも楽しめますが、『コワすぎ!』シリーズのファンならさらに楽しめるような要素も入れました。ただ、『コワすぎ!』と『超コワすぎ!』の世界があるように、あくまでもパラレルワールド的な感じなので、明確な繋がりはありません」

 

──白石監督はこれからもホラー映画を作っていくのでしょうか。

 

「恋愛でも、人間ドラマでも、アクションでも、何でも取り込めるジャンルがホラー映画なんです。どんなことを描いても、最終的にホラーやスリラーとして提示するのが自分の資質に合っているのだと思います。歴史に残るようなホラー映画には、その作品がどうしてその時代に作られたのか、裏打ちされた意味があると思います。いつか自分もそのような意味のある傑作を作ってみたいですね」

 

──白石監督の次回作は日本の2大ホラーアイコンが激突する『貞子VS伽椰子』です。

 

「これまで、沢山のホラー作品を作ってきたのですが、『よし、遂にその時が来たな』という感じですね」

 

──白石監督はPOVホラーの第一人者としても認知されています。これからも、POVやフェイクドキュメンタリーにこだわっていくのでしょうか。

 

「POVに関しては、常パイオニアでありたいと思っていますし、まだやれることは沢山あると感じています。僕がこれまでPOVを使ってやってきたような恐怖表現や異世界表現は、予算の多い大作では絶対になかったと思うんです。低予算だからこそアイデアを駆使して最先端をやれるという自負もあるので、そこはこだわっていきたいですね」

 

映画『ボクソール★ライドショー ~恐怖の廃校脱出!~』はユナイテッドシネマ(※4DX対応劇場)にて2016年1月16日より全国ロードショーです。

 

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