無料電子雑誌「Creative Now FREE」には毎号、様々なジャンルのクリエイターたちの独占インタビューが掲載されています。今回は、最新号「Craative Now FREE」(Vol.024)より、映画監督 三木孝浩氏のインタビューダイジェストを掲載します。『ソラニン』 、『僕等がいた 前篇・後篇』、『陽だまりの彼女』、『ホットロード』など、数々の作品で高い評価を得ている三木監督が、現在公開中の最新作『くちびるに歌を』について語ってくれました。
──『くちびるに歌を』は、子供たちに対して、非常に優しい視線が感じられる作品です。
三木孝浩監督(以下、同)「本作の主人公は15歳の少年少女なのですが、この映画は自分が15歳の時を思い出しながら、向き合って作っていました。十代の頃に自分ができなかったことや抱えていた想いを、作品に投影できたのではないかなと思っています」
──これまで恋愛ものが多かった三木監督ですが、本作は正統派の人間ドラマです。監督している過程で、大きな違いは感じましたか。
「僕は人の悩みや未熟さに対して、それを乗り越えようとする姿を描く事が好きで、これまでの作品も同じテーマだったと思っています。それが恋愛だったり部活だったり、向き合う対象が変わっただけなので、そこまで大きな違いは意識しませんでした」
──本作でもっと大切なのが合唱のシーンです。ここには気をつかわれたのではないでしょうか。
「実際に生徒たちの合唱が上達していく成長過程が、ドキュメンタリー的に映る部分も絶対あると思っていたので、それを注意深く捉えながら撮影を進めていきました」
──三木監督の作品は、映像の美しさも特徴のひとつです。本作では、美しい五島列島の風景そのものも合唱同様に大切な要素だったのではないでしょうか。
「五島列島は島自体が母親的というか、暮らす人々を優しく包み込んでくれるような印象があったので、その空気感も映画に映したいと思いました」
──本作の合唱部の生徒たちが置かれている個々の状況は、非常に現実的でシビアなものがあります。プログラムピクチャーとしてお話を美しくまとめるには、ご苦労もあったのではないでしょうか。
「元々、この映画はNHKのドキュメンタリー番組でアンジェラ・アキさんが五島列島を訪れ子供たちと触れ合ったことをきっかけに生まれています。素晴らしい景色の中で過ごしている子供たちにも、それぞれ悩みがあり、そのことをアンジェラさんが『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』という曲にしました。そこから小説が執筆され、この映画になったんです。その子たちに対して答えは与えられないけど、寄り添う事はできるという曲のメッセージを映画でも大事に描きたいと思っていました」
──本作では、これまでの三木監督の作品の主人公たちよりも、さらに若い世代が主役です。15歳の少年少女を描いていて、監督自身なにか感じることはありましたか。
「映画の物語でもそうなのですが、実際の中学生の役者陣の伸びしろというのが凄くてそれには日々驚かされました。本人たちは意識してないと思うのですが、大人としてその成長を見届け記録できた幸せは大きいと感じました。人が成長していく姿を見る親のような喜びを改めて感じました」
映画『くちびるに歌を』
三木監督が自身の映画制作についてさらに詳しく語ったインタビュー完全版は、近日配信の「Crative Now FREE」(Vol.024)に掲載予定です。映画『くちびるに歌を』は全国ロードショー中です。