アドビ システムズが、10月1日にAdobe Acrobat XIを発表しました。Acrobatと言えば、いまやポピュラーなファイルフォーマットであるPDFの作成/編集/閲覧ソフトですが、メジャーバージョンアップも11にもなると、 何が変わったのか少々わかりにくくなっています。
今回のAcrobatの特徴は、PDFの編集機能が使いやすくなったことでしょう。PDFファイルは保護されていて編集ができないという印象をお持ちの方も多く、「ついにAcrobatでPDFファイルが編集できるようになったんだ」と勘違いしてしまう人もいるかもしれません。しかし、Acrobatはもともと編集機能を備えています。Acrobatには複数の製品がありますが、Readerは主に閲覧、Standardは作成や編集、ProはStandardに新機能を追加したものとなっており、Reader以外の製品は編集が可能でした。各製品の違いについては、アドビ システムズのホームページで確認できますが、有償版であるStandard(3万6540円)とPro(5万7540円)は多くの機能を装備していますがそれなりに高価なため、ビジネス用のツールとして企業などで利用されることが多く、コンシューマーにはあまり馴染みがありません。逆にReaderは無償で配布されており、MacでもWindowsでも(最近はスマートフォンでも)多くのユーザーが利用しているため、Acrobatは編集ができないと勘違いされてしまっても仕方がないかもしれません。
さて、バージョンが11にもなると機能強化がメインになっていますが、クリック&ドラッグでテキストや画像を簡単に編集できる機能、PDFの全体または一部分をPowerPointやWord、Excelファイルで保存して再利用する機能、モバイルユーザ向けに最適化されたPDFの作成、付属のAdobe FormsCentralデスクトップアプリケーションによる電子フォームの作成と配布、収集、結果分析などができるようになりました。
この他にもほとんどの機能が強化されていますが、なによりも簡単にテキストや画像の編集ができるようになったことが、今後のAcrobatの戦略に大きな役割を果たすことになります。アドビ システムズの目的は、とにかくPDFを今以上に幅広く活用してもらうことです。ビジネス的なやり取りをPDFを介することで正確にそして効率的に行ない、同時にセキュリティも強固にすることによって紙を減らしていこうという思いを強く感じます。そこで、PDFは編集ができない、あるいはやりにくいという印象を払拭するために編集機能を強化しました。また、いったんPDFにしたデータから再度他のアプリで再利用したいという要望もあったようで、今回、PowerPointやWord、Excelで再利用できるようにしたのもユーザーの利便性をより強く優先した結果です。
編集しやすくなるとPDFの持っていた強固なセキュリティから遠のくのでは?という心配の意見もありますが、Acrobatはもともと編集が可能であって、今回はそれを使いやすくしただけであり、セキュリティの機能が簡素化されたとか弱まったということではありません。セキュリティは従来通りにきちんとかければ問題はありません。
AcrobatはReaderが無償版として配布されていることもあり、StandardやProの価格がかなり高価に見えてしまうのが残念ですが、Adobe Creative Suite 6のうち、Production Premiumを除く、Design Standard、Design & Web Premium、Master Collection、そして、Creative Cloudには付属していますので、実は導入するのにそれほど敷居が高いわけではありません。特にCreative Cloudは月額制なので気軽に利用することができます。
10月15日よりAcrobat Reader XIおよびAcrobat XI体験版のダウンロードが開始され、10月16日よりライセンス版の受注開始、10月26日よりパッケージ版の発売が開始になります。
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