デザインは取材から生まれる「それからデザイン」が作る
必然性のあるWebデザイン
「ブランド戦略型ウェブサイト」と呼ぶ、独自のWeb提案を行う制作会社「それからデザイン」。彼らが手がけたユニークなWebサイトに込めた、本当の狙いとは?
取材の現場を知ることで、その必然性が見えてきた。
Text:奥田高大 撮影:石塚定人
緻密な取材から導き出された
ユニークなデザイン
Web制作をきっかけに会社が変わった
東京都江東区に本社を構え、金属加工を行う株式会社エフエス。10人の従業員からなる同社は、まさに日本のモノ作りを支える、下町の町工場だ。
ところが、職人気質の同社のイメージと、会社のWebページはまるで正反対。誰もがそのユニークさに驚くはずだ。
「うちは数年前から息子の私が経営することになったんですが、社長になってまず取り組んだのが、会社のWebサイトを作ることでした」
そう話すのは、代表の古岡正之さん。Web制作の理由を次のように説明する。
「金属加工の町工場と聞くと、どうしても地味で、古いタイプの会社を連想するでしょう? でも僕はそういう古いイメージを変えたかったし、何より働いてくれている社員の意識を変えたかった。そのためにWebサイトを作ろうと思ったんです」
ちょうどそんなとき、税理士を通じて知り合ったのが、「それからデザイン」の佐野彰彦さん。それまでも古岡さんは複数のWeb制作会社から提案を受けていたが、「それからデザイン」は提案の前に会社や工場に何度も話を聞きに、足を運んできたのが印象的だったという。そして度重なるヒアリングと下調べを踏まえて提案されたのが、現在のサイト。
ヒーロー戦隊を彷彿とさせるトップページ、キャラクター化した設備紹介、現場で働く社員の座談会など、およそ下町にある金属加工の会社とは思えないようなユニークなデザインだ。
「最初見たときは、そりゃあ驚きましたよ。取引先にふざけすぎだって怒られるんじゃないかとも心配しました。でも一方で、面白いなとも思いました。こんなWebサイトの金属加工会社は他にありませんし、何より会社の強みもしっかり見せてくれていました」
迷いはあったものの、差別化が図りづらい業界だからこそ、このユニークなデザインを受け入れた古岡さん。そうしてサイトがオープンすると、怒られるどころか、予想もしていなかった反響があった。
「問い合わせで一番驚いたのは、サイトを見て、『あの設備があればできるはずだから仕事を頼みたい』と連絡があったことですね。Webサイトを作ったことで、社員に愛社精神が少し生まれたような気がしますし、他の会社とどうやって差別化していくか、そのヒントをWebサイトから貰えた気がします。これからもWebを使って、どんどん情報を発信していきたいですね」
奇をてらうだけでなく、
きちんと本質も伝える
「技術の差が見えにくいなかで、他社とどう差別化するか」に頭を悩ませたという「それからデザイン」の代表、佐野さん。サイトではデザインだけに目がいきがちだが、実は苦労したのがそこで伝えるべき内容だという。「テキストではしっかりエフエスさんの“強み”を伝えています。そこは絶対に外してはいけないポイントでした」(佐野さん)
エフエスのWebサイト
株式会社エフエス
キャラクター化の理由
現場の声を発信して、会社のイメージを刷新
株式会社それからデザイン
〒156-0041 東京都世田谷区大原1丁目63−9 アーク笹塚ビル4F
Webサイトを企業成長のためのツールととらえ、包括的なブランディングを支援する「ブランド戦略型ウェブサイト」を提案するWeb制作会社。 現在同社では、Webデザイナーなど幅広く人材を募集中。詳しくはWebへ。
(Web Designing2014年9月号より転載)