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What Makes <ENTACLGRAPHICXXX> More Creative ? エンタクルグラフィックス_人とクリエイティブ

2004年の設立以来、エンターテインメント系のリッチコンテンツをはじめとしたWeb案件を中心に評価を集めてきた、Webプロダクションのエンタクルグラフィックス。
Webをはじめ、グラフィック、映像‥‥など、社員のプライベートワークをも奨励しているという同社のクリエイティブを支える秘密を求めて、話しをうかがった。

Text 遠藤義浩/Photo 石塚定人

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INTERVIEW with FOUNDER MEMBERS

プライベートワークも重視して ゼロからの作品づくりを後押し

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岩田文人 Fumihito Iwata
(株)エンタクルグラフィックスの代表取締役。広告代理店、Webインテグレーターを経て、2004年秋に齋藤氏とともに(株)エンタクルグラフィックス(ENTACLGRAPHICXXX)を設立。現在もプイレヤーとして、デザインやIA、プランニング業務を手がけるとともに、自社主催の映画祭や音楽フェスを開催するなど、精力的な活動をつづける。

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齋藤雅人 Masato Saito
ゲーム開発会社、広告代理店、Webインテグレーターを経て独立。(株)エンタクルグラフィックスの設立メンバーであるともに、同社取締役。ワダタカアキと組む総合テクノユニット、アロアズフゥ名義で制作したアニメーションでの受賞歴があるなど、動的な表現を得意とするデザイナーとして活動する。

エンタクルグラフィックス(以下エンタクル)は、エンターテインメント系コンテンツを中心に2004年から活動をつづけるWebプロダクションだ。エンタクルの特徴としてあげられるのは、業務にとらわれない社内活動やプライベートワークを、社内スタッフに積極的に奨励している点にある。

「僕たちが日ごろ行っていることは、おもにクライアントあっての商業/広告デザインです。クライアントから1の要素をいただき、10へと進化させる大切な仕事です。でも、クリエイティブを提供する会社として、何もない0(ゼロ)の状態から作品を生み出していく体験も、積極的に積んでいきたいと考えています。そうは言っても、本業があるなかで並行してできることではありません。であるならば、会社全体の活動として組み込めないかと考えたわけです」(岩田氏)

なかでもユニークなのが、年末に開催されるエンタクル主催の映像祭だろう。社内から当日の上映のために制作した作品を持ち寄り、社員のほかに日ごろお世話になっているクライアントなども集まり、みんなで作品鑑賞を楽しむイベントを行っている。2012年には4回目を迎えたほか、イベントの後日にはノミネート作品をまとめたDVDをパッケージ付きで作るという凝りようだ。みんなの参加を促しながら取り組むことに意味がある、と岩田氏は語る。

「映像制作の現場は、いくら少人数でやろうと思っても、出演者と撮影者とがいる時点で複数のスタッフが必要になります。日ごろの業務はついつい一人での作業に陥りがちでも、こうした機会によって、意識的に共同作業の機会を設けて、日ごろの業務をみつめなおすきっかけにもしてほしいと思っています」(岩田氏)

「設立メンバーの岩田と私は、もともとデザイナーですので、“つくる”という行為をとても大切に考えています。表現力を磨く場所が業務に限られると、得られる体験に制約が生じがちです。業務外での体験を通じて、本業とは異なるチャレンジや発見を促したいのです」(齋藤氏)

映像作品の制作には、日ごろの業務とまったく関係のない役まわりで参加する人がほとんどだという。それは、率先してふだん味わえない体験を追い求めたいからなのだろう。そういった積極性を後押しするように、エンタクルでは映像イベントでの取り組みをはじめ、業務外のプライベートワークに関しても、数値化して評価する仕組みが用意されている。続くスタッフインタビューには、それぞれの社員がプライベートで発表しているプロジェクトも紹介している。その本格的な取り組みぶりも確認してみてほしい。

「人」重視こそが、活動の原点

エンタクルはWebプロダクションでありながら写真、映像、グラフィックなど、表現する方法と扱う対象が実に幅広い。とはいえ、その幅広さが主な特長なのではない。どれもが、技術力と開発力に裏打ちされていることこそがエンタクルらしさなのであり、それらを支えるのが”人”の存在だ。

「もちろん技術力、開発力は重視していますが、技術や開発を生み出すのは“人”です。なにより、クライアントという“人”、ユーザーという“人”、制作者という“人”があってはじめて、僕たちの仕事は成立します。設立以来、人ありきの精神を原点に、今もその精神は社内に徹底しています」(岩田氏)

だからこそ、全社的にプライベートワークを促したり、スタッフ一人ひとりを業務内外という枠組みとは関係なくバックアップする体制作りにプライオリティを置いている。付け加えるなら、社内イベントと位置づけている映像祭や音楽フェスといった催しは、クライアントも含めたさまざまな“人”を一堂に会し、楽しみや驚きを共有するための場としても機能しているのだ。

クライアント、ユーザー、制作者‥‥関わるすべての“人”が等しく喜び、楽しめるものをアウトプットしていくこと。それこそがエンタクルの考えるクリエイティブのあり方ということなのかもしれない。

最後に、エンタクルがどのような未来像を描こうとしているのかを二人に尋ねた。

「クライアントのご要望にきちんと応えつづけたい。そのうえで、エンターテインメント系の分野だけではなく、ほかのジャンルの仕事にも積極的にトライしたい。弊社の制作マインドである、“未経験なことにトライする”を実践するためにも、継続性とチャレンジ精神の二つの側面を持ちながら、果敢にクリエイティブ業務に挑んでいきたいですね」(岩田氏)

「クライアント、ユーザー、制作スタッフ、関わる全ての人に驚きと喜びを与えるクリエィティブを常に提供したい。当然と言われればそれまでですが、その当然をやり通していくこと。それがエンタクルらしさだといつも思っています」(齋藤氏)

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    Ciao Festival 2013
    音楽&映像フェスティバルを社内の有志メンバーが主催。千葉県の中滝アートヴィレッジにて子どもから大人まで参加できるフレンドリーな野外フェスとして企画された。Tシャツ、チケット、ギターピックなども制作
    http://www.ciaofes.com/

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    ENTACL FILM FESTIVAL
    (株)エンタクルグラフィックスが主催する映像イベント。毎年、テーマに沿った映画やアニメーション、CG、ドキュメントなどが出品される。第3回からは外部からの出品も受付。出品作はDVD化され、関係者に配布する
    http://www.entacl.com/eff04/

Web Designing2013年10月号より転載)

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