第七週


南の町の小さな白い家の玄関へと

北の町の鎖の錆びに体中まみれた二人がやって来て

西の町のストーブもないのに暖かなパン屋の袋を抱いて

東の町で腐るほど作られているずっしり重い革袋とともに

反故郷なるタイトルで市役所のロビーに浮かび続ける陶器


歩くんだ。

ライターを閉ざす瞬間散る火花それを頼りに足場を探れ


分け合うためじゃなくて、

奪い合うために僕らは二人でいるんだよ。

タクシーの頭部きらめきわが中をうごめく夜行性の欲望


だから、これはここに置いてゆくんだ。

クリストファー・ロビンもいつかこの森を出てゆく春の氷雨を浴びて


スピードは上がってゆく。

僕は都々逸なんて口ずさみながらおどけてみる。

君は当然のように笑わない。

それを蒔かなきや花にはならぬ種さお前の泣きぼくろ

死に場所どことお前は言ふがガソリンだけが知つてゐる

 

 

2014.2.24

カテゴリ: シーズン1, 山田航
タグ: , ,