南の町の小さな白い家の玄関へと
北の町の鎖の錆びに体中まみれた二人がやって来て
西の町のストーブもないのに暖かなパン屋の袋を抱いて
東の町で腐るほど作られているずっしり重い革袋とともに
反故郷なるタイトルで市役所のロビーに浮かび続ける陶器
歩くんだ。
ライターを閉ざす瞬間散る火花それを頼りに足場を探れ
分け合うためじゃなくて、
奪い合うために僕らは二人でいるんだよ。
タクシーの頭部きらめきわが中をうごめく夜行性の欲望
だから、これはここに置いてゆくんだ。
クリストファー・ロビンもいつかこの森を出てゆく春の氷雨を浴びて
スピードは上がってゆく。
僕は都々逸なんて口ずさみながらおどけてみる。
君は当然のように笑わない。
それを蒔かなきや花にはならぬ種さお前の泣きぼくろ
死に場所どことお前は言ふがガソリンだけが知つてゐる
2014.2.24